大学の運動部での薬物事件が相次ぐ中、7月に部員2人が逮捕された東京農業大学(東京都世田谷区)のボクシング部で3人目の逮捕者が出た。

警視庁薬物銃器対策課は10日までに、乾燥大麻を所持したとして大麻取締法違反(営利目的所持)容疑で、部員の大学3年、岩渕大輔容疑者(21)を逮捕した。逮捕は9日。部内で大麻使用が広がっていた可能性があり、より深刻な事態になってきた。

逮捕容疑は、7月5日、別の部員の男(19)と共謀し、大学関連施設の駐車場で乾燥大麻約59・6グラム(末端価格29万8000円相当)を所持した疑い。駐車場は、ボクシング部が生活する寮に近い。警視庁は、共謀したとされるこの部員を同法違反容疑で8月1日に再逮捕している。

同大ボクシング部では先月12日、路上に止めた車の中で乾燥大麻約7・8グラムを所持した疑いで、部員と知人の男(19)が逮捕され、同24日には別の部員の男(19)も、同法違反容疑で逮捕された。体育会系学生が生活する寮は7月初旬、警視庁の家宅捜索を受けた。

ホームページによると、同大学は16日まで夏季休業中。3人目の逮捕者が明らかになったこの日、江口文陽学長名のおわびコメントを発表したが、記者会見などの対応はなかった。

コメントは「本学学生が大麻取締法違反の疑いで逮捕され、その後も協力を続けておりました警察による一連の捜査により、8月9日、同容疑による逮捕者が新たに出たことは誠に遺憾」とした。また「引き続き、警察の捜査に全面的に協力し、大学をあげて再発防止に向けて全力で取り組んでまいります」「薬物乱用の有害性・危険性・反社会性は明らかであり、厳正に対処する所存です」とした部分は、アメリカンフットボール部員の逮捕を受け日本大学が5日に発表したコメントとほぼ同じ内容だ。

1925年(大14)創部で、強豪で知られる東京農大ボクシング部だが、7月12日付で無期限活動停止となっている。