自民党の小泉進次郎元環境相は27日の衆院予算委員会で、日本各地で問題になっているタクシー不足に関連し、運転手を確保に向けた対策として、東京や大阪、地元の神奈川など一部地域で導入されている「地理試験」の廃止を求めた。斉藤鉄夫国交相は、廃止も含めて早急に検討する考えを示した。

進次郎氏は「東京のタクシーは2種免許を持っているだけでは営業運行ができず、地理試験を80点以上取らないと、東京ではタクシードライバーになれない。大阪も同じで(神奈川の)横須賀、三浦、横浜、川崎の地区も、ここだけに、地理試験という二重規制がかかっている」と指摘。「タクシーが足りないといわれる中、しかも利用する側が、運転士さんにスマホで行き先をご案内する機会が増えているのに、地理試験を本当にこれからもやり続けるのか」と述べ、時代の流れに即した効率的な対応を取るよう求めた。

答弁を求められた斉藤国交相は、同試験が全国13カ所で行われているとした上で「しかし現在は、地図アプリやカーナビが非常に発達した時代。時代にあったやり方を、限定せずに、廃止も含めて早急に検討したい」と述べた。進次郎氏は「前向きな答弁をいただいた」と応じた。

一方、岸田文雄首相が所信表明で、一般ドライバーが自家用車で客を有償で運ぶ「ライドシェア」の導入へ検討を進める考えを示したことについて、進次郎氏は推進派の立場から「総理の決断で土俵に上がった」と評した。「使ったことがある人とない人とでは、認識が全然違う。慎重な立場、推進する立場で、同じように共有する認識の土台が必要だ」とも、訴えた。

岸田首相は「ライドシェアは世界各国にさまざまな制度があるが、わが国は各国と比較して先進的かというと、かなり限定した条件、地域の中で行っている。今のニーズを考えると本格的に考えないといけない。あらためて議論を(河野太郎デジタル相に)指示した」と述べ、これを受けた河野デジタル相は「自動運転、タクシーの規制改革、ライドシェアの3点で地域の足を確保していきたい。年内にご報告できるところまでなにがしかとりまとめたい」と述べ、ライドシェアをめぐり年内に報告をまとめる意向を明らかにした。

一方、斉藤国交相は「自動車が安全であること、運転手が安全であること、事故が起きた時間に責任をとれるか。この3点が重要だ」との認識を示した。【中山知子】