全国でクマやイノシシなどによる被害が相次ぐ中、環境省は1日、23年度の全国のクマによる人的被害件数が、4~10月末の7カ月間で18道府県で計164件、死者5人を含む計180人に上ったなどと発表した。被害件数の測定を始めた06年度以降、最多となった。東北地方の被害が深刻で、秋田が61人で最も多く、岩手42人、福島13人、青森11人で続いた。10月の被害も13道県で59件、被害者は死者3人を含む71人に上り、同時期として過去最多。内訳は秋田33人、岩手15人、富山5人、青森4人、北海道3人など。速報値のため数は変わる可能性があるとしている。

クマの被害はほぼ連日、各地で報告されている。10月31日も、富山市で女性2人が襲われてけがをした。住宅前の路上にいたところ遭遇。家の中に逃げたが、クマがガラス戸を破って襲ったという。1日も岩手県北上市の森林でキノコ採りの男性が襲われ、右腕をかまれてけがをした。

環境省は1日から、自治体の要請に応じ、対策の指導や助言などをする専門家の緊急派遣事業を始めた。派遣費用は、通常時は一部を除いて自治体が負担するが、昨今の状況を受け、クマ対策に関する緊急派遣事業では環境省が負担する。31日の関係省庁連絡会議では、クマの生態に詳しい東京農大の山崎晃司教授が「木の実などが凶作だと冬眠入りが例年より早くなる傾向があるものの、クマが集落の柿の木などに執着していれば、遅れる可能性もある」と指摘。冬眠入りまでの期間、果実や農作物の管理が重要だと強調した。