岸田文雄首相が23日夜、普段生活している公邸から急きょ、公邸近くのホテルに移動したことが、永田町でさまざまな臆測を呼んだ。

首相動静によると、首相がホテルに移動したのは23日午後9時半すぎで「何か緊急事態なのか」などの臆測が出た。しかし首相は24日、公務後に公邸に戻り、そのまま外出することはなく、ホテル滞在は23日夜だけで終わった。

官邸側は、公邸内の「設備の不具合」と説明し、首相のホテル宿泊は「一時的な措置」ともしていたが、首相が1度「帰宅」した後の、深夜のホテル移動は極めて異例。これを受け、SNS上では「幽霊が出たのか」とのコメントが多く寄せられていた。

現在の公邸は、1929年(昭4)に完成した旧首相官邸を改修し、2005年から使われている建物。この建物は戦前の旧官邸時代に、犬養毅首相が殺害された「5・15事件」や、青年将校によるクーデター未遂「2・26事件」などの舞台となった経緯があり、今も「幽霊が出る」「幽霊を見た人がいる」とのうわさが絶えない「都市伝説」が残っている。

民主党政権時代に公邸に住んでいた立憲民主党の野田佳彦元首相は昨年2月の衆院予算委員会で、岸田首相が9年ぶりに公邸に居住する首相となったことを危機管理上の観点から評価した上で、公邸が「『事故物件』扱いされている」と指摘。「妙な都市伝説を吹き飛ばすのは大事だ」と述べるなど、「公邸に幽霊が出る?」問題は国会でも取り上げられた。

首相が24日に公邸に戻っても、SNSでは「出てしまうと、そこで寝るのは難しいかも」「こういう時って政府お抱えの退魔師とか呼ぶのかな」「現首相の枕元にものすごい形相の元首相が立っていたからだったら面白…くはないな」など、「幽霊説」を意識したコメントが相次いだ。