松野博一官房長官は27日の参院予算委員会で、石川県の馳浩知事が東京五輪の招致活動の際、内閣官房報償費(官房機密費)を使ってアルバムを製作し贈ったという趣旨の発言(その後撤回)をした問題をめぐり、官房機密費を預かる立場として認識を問われたが、詳細についてコメントを避けた。

馳氏が当時、自民党の東京五輪招致推進本部長を務めていたことを念頭に「党職の活動について、政府の立場で発言する立場にはない」とした上で「内閣官房報償費は国の機密保持上、その使途などを明らかにすることが適当でない正確の経費として使用されてきている。個別具体的な使途はお答えを差し控えている」と述べるにとどめた。

質問した石橋通宏参院議員は「違法なことに使っていいとはどこにも書いていない」とした上で「自民党の活動に機密費を使ったのかということに疑問が持たれている」と、党の活動に機密費を使う判断の是非にも踏み込んだが、松野氏は「個別具体的な使途はお答えを差し控えている」と繰り返した。

石橋氏は「国民の疑念、疑惑や疑問に一切答えようとしない。全部ブラックボックスだ」と批判。「都合のいいように解釈されて、大切な国民の税金の使い道を明らかにしようとしない。この姿勢が国民から疑念を持たれており、きょうのやりとりで疑念に拍車がかかった」と、馳氏の対応にも機密費についてもだんまりを続ける岸田政権の対応を批判した。

官房機密費は使用した場合でも領収書が必要なく、月に1億円、年間12億円使えるともいわれる。