広島のチーム状態の良さが出た。
3回で大勢が決まったが、2人に目がとまった。まずは遊撃の矢野だ。初回無死一塁で、中野の強烈な当たりを横っ跳びで好捕。併殺はならなかったが、床田は先頭の近本にストレートで四球と、不安定な立ち上がりだった。もし、中前に抜けていたら試合は分からなかった。投手を助ける大きなプレーだった。
矢野は2回無死二塁ではセーフティーを決め、2点目につなげた。さらに1死一、三塁で秋山が一ゴロの後、三塁走者として三本間で挟まれても、粘りに粘って走者を進ませ二、三塁とした。得点にはつながらなかったが、大事なプレーだ。守り、打撃、走塁全てで、その場面でやらなければいけないことをやった。ベンチの求めに応えている。
もう1人、末包にも同じことが言えた。2回先頭の二塁打は浮いたカーブ、3回の3ランは真ん中のフォークと、甘い変化球を捉えた。この日の村上はストライク、ボールがはっきりしていた。自分には変化球で攻めてくると、頭に入っていたのだろう。ケガから戻ったことで、チームに足りない長打力が加わった。
1週間前、松山でのヤクルト2連戦を解説した。その際、矢野と末包に注目がいった。その2人が、この日もいい働きだった。そろってスタメン出場するようになった8日以降、チームは7勝2敗。全体のバランスが格段に良くなった。2人とも開幕オーダーにはいなかった。2位に躍進した去年もそうだったが、広島は試合を重ねながらシーズンの戦う形をつくる。特に今年は開幕早々、レイノルズ、シャイナーを欠いた。構想に入っていた外国人が2人も抜けたのに、選手の状態を見極め、新たなオーダーをつくる。新井監督はじめ、スタッフ、選手全員が同じ方向を向いているから、できるのだろう。
末包は14日のヤクルト戦では、2-0の6回無死一、二塁で三塁手の前に絶妙に転がしバントヒットを決めた。正直、打たせると思っていた。実は小技もできる。長打があるだけに「打つだけでいい」と言いがち。だが、仮に9月の勝負どころで小技を求めても、なかなかできるものではない。この時期からベンチが求めることを伝え、選手も応える。これも、全員が同じ方向を向いているからで、そう簡単なことではない。
好調がどこまで続くかは分からないが、仮に誰かがへばっても代わりの選手が出てきて、うまく回るのではないか。投手陣も強力。今年も広島は侮れない。(日刊スポーツ評論家)




