正月こそカレーを食べよう! 音楽関係者では指折りのカレーライス愛好者として知られる2人組ユニット「ホフディラン」の小宮山雄飛(50)が「2024年最初に食べたい んめぇ~カレーライス~東京編」について語った。取材場所は東京・築地場外の名店「東印度カレー商会 築地場外店」。カレーライスの紹介だけではなく、小宮山とカレーの出会いについても語ってくれた。
築地「東印度カレー商会」
■看板同じも別物
取材は、2023年師走の午前9時前に行われた。
音楽の世界の“住人”は夜と昼が逆転して行動する人が多いが、小宮山は「ぜんぜん、平気ですね。築地あたりは早朝からよく来てるんで」と平然と答えた。路地の多い築地場外。店の前で待ち合わせをしたが無事に合流できた。「道に迷わなかったですね。2階の窓に店名が書かれているのを覚えていましたから」と、その2階を指さした。
東印度カレー商会。築地だけに魚に関連した海鮮丼、すしなどを目的とする観光客が大多数。ただ、1度味わってしまうとリピーターになって、再び訪れる人は多いという。小宮山は初来店だった。
小宮山は、この店名のカレーを食したことがあった。東印度カレー商会は不動前(東京・品川区)に本店がある。「記憶はさだかではありませんが、10年以上前に本店でカレー食べたんですよね。でも、印象にない。カレーおにぎりを購入したことはありますけどね。それ以来、カレーライスは食べていない」と話してから首をかしげて「久しぶりに食べた。何でだろう、これ、すごくうまいなぁ」とルーをすくったスプーンを見つめて不思議そうな表情をした。
ここでオーナーの我妻明さん(59)が「さすがですね」と、ルーの入った鍋を持ってテーブルに近づいてきた。この店のカレーライスはルーのおかわり自由のルールになっている。我妻さんは「築地は13年前開業。本店はその2年前、このカレーで営業を始めた。その以前も同じ店名だったんだけど『オレのカレーじゃない』と思った。看板は同じでカレーを別物にしたんですね。小宮山さんの食べたのは違うカレーですね」と説明してくれた。
■豊潤な飲み物!!
小宮山とカレーライスの出会いは意外に遅い。自宅で母親は手作り料理にこだわっていて、インスタントラーメン、固形ルーを溶かすカレーなどは子ども時代に食べたことはなかった。大学生になって西早稲田にあった名店「夢民(むーみん)」で食したカレーライスに衝撃を受けた。
スパイシーなさらさらルー。「白いご飯にぴったり。なんてごちそうなんだ。これがカレーライスというものなのか」と。その衝撃体験以降、カレーライスのとりこになり、知らない土地に行くと必ずカレーを食べた。「数えていないけど、ざっくり500店は回った。全然飽きない。カレーはむちゃくちゃ奥深い」と話す。
そして、今回、築地を訪れた。ルーはしゃばしゃば。飲み物と表現しても間違いではない。ひと口すすれば豊潤で、かつ、やわらかい辛さが口の中に瞬時に広がってストンと体内にしみ渡っていく。具はニンジン、玉ネギ、ジャガイモをしっかり焼き上げ、豚肉はトロトロに煮込まれている。「おいしいですね。こういうオーセンティック(※)なカレー…」と口元を引き締めて「素晴らしいです。季節関係ない。お正月でも十分いける。ご飯にしっかり絡んでくるカレーは最高ですね。しかも、ルーのおかわりができるなんて」と笑った。
食べ終わった直後に自家製ラッシーをぐい、と飲み干して「ふぅ~、食べたぁ~」と至福の表情となり「1番最初の記憶にしばられてはいけない。まあ、そもそも別物のカレーだったし」と笑った。
小宮山の心のカレーファイルに「東印度カレー商会」が刻まれた。【寺沢卓】
※オーセンティック(authentic) 「本物の」「正統の」「信頼できる」の意味を持つ形容動詞。ファッション業界では、着こなしが本格的なモデルへの賛辞の定番として使われる。
レトルト「渋谷ブラックカレー」
■28種類のスパイス、本格的な黒
食べるだけではなく、カレーのレシピ本も多数出版している小宮山だが、1月10日にレトルトパックのカレー「究極・渋谷ブラックカレー」を全国販売する。28種のスパイスと野菜と牛ひき肉を煮込んでさらさらの真っ黒なルーに仕上げた。豚の塊肉も2つ。小宮山は「コロナ禍でレトルトカレーもおいしいものが出てきた。空腹を満たすだけではない本格的なレトルトカレーを考えてしまった」と話す。すでに黒に続いて「レッドカレー」も考案中とのこと。
昨年12月4日から市場調査をしながら首都圏のスーパーで約2000個を先行販売した。売れ行きは好調。販売元「36チャンバーズ・オブ・スパイス」田中淑鏡知(よしみち)代表は「ミュージシャンの方でカレー好きが多いのを気にとめていて、小宮山さんにはぜひレトルトをお願いしたかった。念願がかなった。シリーズ化したいですね」と語った。
神田小川町「グレビー」
■ぜひ!ネパール料理のおいしさ
2024年の最初に食べるカレーとして、小宮山が勧めるのはカレーではないカレー。神田小川町「グレビー」。「本物のネパールを食を通して知ることができる」と絶賛する。
21年4月開業。そもそもネパール料理の店でカレーはなかった。写真のオーナーシェフ、オリ・パラジェシュさん(39)の持つ「ダルバート」だけの飲食店だった。
「ダル」は豆、「バート」はご飯の意味で、いろいろなおかずとご飯をひと皿にまとめた幕の内弁当のような郷土料理だ。常連の客からダルバートのおかずの1つになっていたカレーについて「単品で食べたい」との要望にこたえてメニューにしたら大ヒット。1年前に宴会コースをつくったら、これもまたウケた。
オリさんは来日して13年。10年間ホテルで修業して独立して3年。「ネパール料理のおいしさを伝えたい。スパイスは私が独自に調合したものばかり。一番意識しているのは健康。だけどおいしさもしっかり詰め込んでいますよ」。
◆こちらも逸品
そのほかにも小宮山の都内オススメ店を紹介してもらった。
★デリー上野店(文京区湯島)「カシミールは激辛ながら深い味わいでクセになっちゃいますね」
★スマトラカレー共栄堂(千代田区神田神保町)「ビターなコクとスパイス感が唯一無二のレジェンド」
★キッチンABC西池袋店(豊島区西池袋)「ご飯が進む。これぞ洋食店のブラックカレー」
★カレーの南海(世田谷区祖師谷)「揚げ物との相性もバッチリのうま味が詰まった激うま逸品」

