能登半島地震の影響で、石川県七尾市の観光名所「一本杉通り」は大きな被害に見舞われた。道路はひび割れ、多くの家屋が倒壊していた。

文具や事務用品などを扱う創設120年「コクブ」では休憩所として使っていた木造住宅が半壊した。地震発生時、1階のダイニングにいたという国分陽一さん(50)は「どーんと横揺れと縦揺れを感じた」と振り返る。棚などの家具が倒れだし、天井からは砂が落ちてきた。先祖の荷物を置いていた、住宅と隣接した築約100年の蔵が倒壊。隣の部屋で洗濯をしていた母節子さん(73)が呼びかけに応じず、陽一さんは開かなくなった障子を突き破り節子さんと一緒に脱出した。節子さんは「うちは壊れたけど、けがもないし命があって良かった」と話した。

本社の事務所は後片付け処理に追われており、事業の再開については「建設会社も手だてを考えてくれているが、なかなか大きな機械が持って来られないという話なので分からない。補償もどうなるのか」と不安を口にした。住み慣れた町の変わり果てた風景に「言葉が出ないですよね」と表情を曇らせた。