4月28日に投開票される衆院東京15区(東京都江東区)の補欠選挙に国民民主党から立候補予定も、同党から「立候補を断念しろ」などと強要されたと暴露した、元アナウンサーでタレントの高橋茉莉氏(27)が25日夜、この日午後に自らの投稿を全て削除したX(旧ツイッター)を、改めて更新。「政界を引退するためしばらくこのアカウント・SNSを休止します。」と、唐突に政界引退を宣言した。高橋氏は、柿沢未途氏(自民党離党)の辞職に伴う同補選への出馬表明会見を8日に行ったばかりだった。

高橋氏は、25日未明にXに「国民民主党から、『立候補を断念しろ』と言われ、涙をのんで引き下がることに致しました。理由は、ラウンジで働いていた過去があるからです」と投稿した。ただ「生活保護を経験し、頑張って奨学金で慶應を卒業しましたが、多額の返済が残りました。多額の返済が長期に残らないよう、1日でも早く返したいという気持ちが強く、一時期ラウンジで働きました。それが悪いこととして立候補できないのであれば、『底辺で頑張る女子は一生チャレンジすら許されない』のでしょうか」と投稿した。

その内容に関して、生活保護を受けていた時期にラウンジで働いていた場合、生活保護の不正受給に当たるのでは? との疑問の声がX上で出ていた。そのことに対し、高橋氏は「生活保護を受給しながら、ラウンジ勤務をしていたらというのは、事実と異なります」と反論した。ただ「最後に、このような形になってしまい申し訳ありません。応援いただいた方々、誠にありがとうございました!」と政界を引退する意向を、改めて示した。一方で政治関連の投稿を削除したインスタグラムには、国民民主党候補予定者として活動した写真4枚と、東京・新橋駅で行った街頭演説の動画を投稿した。

国民民主党の玉木雄一郎代表(54)はこの日午前、高橋氏のXでの投稿をリポストする形で「国民民主党はラウンジ勤めのみを理由に立候補の断念を求めるようなことは決してありません。事実関係を整理の上、週明けに正式に説明いたします」と反論。さらに「東京15区の我が党の公認候補予定者に関し、法令に抵触するおそれのある事実が明らかになりましたので、明日10:30から選対責任者が会見を開き説明します。なお、国民民主党はラウンジ等に勤務していたことで出馬辞退を求めるようなことはありません。ご心配とご迷惑をおかけして申し訳ありません」と、名前こそ挙げなかったものの、同氏に法令抵触の恐れがあると示唆した。国民民主党もその後、25日付で高橋氏の公認を取り消した。

高橋氏は、Xでの連投の中で「確定申告を毎年しており、年金など税金は問題ありません。私は本日を持って国民民主党から離れます。『お金に困らない、安心して暮らせる社会を実現したい。』私の志を理解して頂ける政党の方たちと出会い、これからも頑張って行きたいと思います。皆様、今後とも何卒宜しくお願いいたします」と自らの正当性を強調。インスタグラムで行ったライブ配信でも、涙ながらに「ご報告と告発をさせていただきました。(中略)現在の状況といたしましては、きっと私のSNSは凍結されると思います。私が意見を発する場がなくなってしまうと思います。なので、今ご覧になっている皆さまは、どうか録画を取って証拠を残してください。(中略)体調不良を理由に辞退しろと言われました」などと訴えていた

ただ、生活保護の不正受給に当たる恐れありか? との指摘や玉木代表の反論投稿を受けて、Xは全て、インスタグラムでは政治に関する投稿を削除したとみられる。「録画を取って証拠を残してください」と呼びかけた動画もアーカイブスを残していたが、こちらも削除。録画された動画を元に、逆にX上などで生活保護の不正受給に当たるのでは? などと突っ込まれており、自らの“作戦”があだになりかける事態に陥っている。

国民民主党の公式サイトによると、高橋氏は立教女学院小から大学まで進学する予定が、父が経営する会社が倒産した影響で退学。生活保護を受給していた時期もあり、調布市立調布中、都立西高を経て奨学金で慶大文学部を卒業。ミス慶応、ミス日本出場をきっかけに、大学在学中にアナウンサーを始めて3年活動し、外資系コンサル企業のアクセンチュアで3年間勤務。奨学金の返済や両親の面倒をみるのに四苦八苦する一方で、最近の政治とカネの問題に憤りを感じて出馬を決意したとしている。