岸田文雄首相は29日、国会内で開かれた衆院政治倫理審査会(政倫審)で、首相就任後も「勉強会」と称して続けてきた政治資金パーティーについて、「今後、在任中はやることはない」と明言した。

立憲民主党の野田佳彦元首相に「やらないと明言を」と再三追及され、最後はあきらめて「白旗」をあげたような形で答えた。

首相の政治資金パーティーをめぐっては26日の衆院予算委員会で、野田氏が「2022年だけで7回、開催していた」「ここまでパーティーが好きなのは異常だ」と批判していたが、首相はあくまで「勉強会」して問題ではないと反論していたが、この日は26日の答弁を「撤回」した形。

首相は2022年だけで政治資金パーティーを7回開催し、約1億5370万円を売り上げ、利益は1億3000万円超にのぼると問題視されていた。在任中は大規模パーティーを自粛する大臣規範に抵触するとの指摘も出ていた。

ただ、最終的に今後はパーティーをしないと答えるまでに、かなりの時間を要した。首相は「法令上、パーティーを勉強会と言い換えるやり方はごまかしだ」と野田氏に指摘され「総理就任前からの勉強会を続けている」とし大臣規範にも当たらないと、26日の予算委答弁と同じ内容の答弁を繰り返した。逆に、野田内閣の閣僚もパーティーを開いていたケースがあったとして「要は説明だ」と主張したが、野田氏は首相に「『心の中の規範』はないのか」と指摘。「首相は2022年4月に3回パーティーをやっているが、当時ロシアのウクライナ侵攻や20年ぶりの円安などいろんなことが起きている時に3回もやっている。何なんですか」と怒りをみせると、首相は「政治資金パーティーは、総理としての職務に影響を与えたことはないと確信している」とした上で「私自身(指摘を)しっかり受け止め、今後は適切に判断します」と口にした。

野田氏は、2022年7月に安倍晋三元首相が銃撃死した後も、岸田首相がコンスタントにパーティーを開き続けていたとして「内閣総理大臣になったら、やめないといけない慣習だと思いますよ。去年も12月15日にやろうとして延期されましたね。中止ではないですね。まだやろうとしているのですか」と、首相の変わらぬ「パーティー好き」を暴露した上で「在任中はやらないと明言できますか」と迫ると、首相は「国民から疑念を招くものではないという判断のもとで開催した。この考えは変わりませんが、その上で今後についてご指摘を踏まえ、適切に判断します」と述べた。

野田氏に「明言できないんですか」と突っ込まれてようやく、首相は「内閣総理大臣としてパーティーを開催することは、今は考えていない」と述べた。野田氏が「在任中はやらないと言ってください」と念を押すと、首相はやっと「結果的に、在任中はやることはないと考えています」と答えた。

野田氏は「これからもパーティーをやるというのなら、内閣総理大臣を辞めろと言いたくなるくらいの思いで質問した。ようやく明言をされたので了とします」と応じ、矛を収めた。