北陸新幹線が3月16日に福井県敦賀市まで延伸される。これに合わせ、地元の企業が持つ独自の技術を伝えようとしている。

坂井市丸岡町の「セルフネン」では、日本初の不燃木材製造と不燃化技術の研究開発を行う。知る人ぞ知る企業だ。社名は「セルロース+不燃」の意の造語。県産の間伐材を使う。

「不燃処理を施すことで炎が当たっても炭化するだけで着火せず、延焼もしない」と同社の相原利治氏は言う。煙や有害ガスの発生も抑制し、リサイクルもできる。

すでに全国至る所で、不燃木材は採用されている。県内では、一昨年10月にオープンした一乗谷朝倉氏遺跡博物館や、北陸新幹線の芦原温泉駅舎で使われている。東京・秋葉原のUDXビル、埼玉県越谷市にある越谷レイクタウンの吹き抜けホールなどが代表的な場所となる。

福井県の面積は42万ヘクタールで、このうち森林は31万ヘクタールと全体の約4分の3を占める。森林の中で、間伐が必要な人工林が12万ヘクタールある。間伐材を使うことで地産地消に加え、二酸化炭素の低減による地球温暖化の防止、森林整備の促進による災害防止や水資源の供給や確保にも役立つ。

同県農林水産部では、「県産材を活用することで自然も産業もうまく回る」と話す。北陸新幹線を通じてそんな「福井の木づかい」が全国に浸透することも期待している。