自民党は2日、衆院東京15区補選(4月16日告示、同28日投開票)で、小池百合子東京都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が国政進出に向け設立した「ファーストの会」が出馬を打診した作家の乙武洋匡氏(47)を推薦する方針を決めた。茂木敏充幹事長が党本部で取材対応し、発表した。

同補選は、昨年の江東区長選をめぐる公選法違反事件で柿沢未途氏(自民党離党)が辞職したのに伴い行われる。「ファーストの会」から打診を受けた乙武氏は、無所属で出馬する方針。自民は独自候補擁立を断念し、小池氏に近い肝いり候補の乙武氏に「相乗り」する形で、選挙を戦うことになる。

東京15区補選では、立憲民主党が元江東区議の酒井菜摘氏(37)を擁立する方針で最終調整しており、すでに小堤東氏(34)の擁立を発表している共産党との間で一本化を目指す構え。日本維新の会の金沢結衣氏、参政党の吉川里奈氏、日本保守党の飯山陽氏、自民党を離党した無所属の秋元司氏がそれぞれ立候補を表明し、候補者乱立で激戦になるとみられている。

自民党はまた、派閥政治資金パーティー裏金事件に関連し、谷川弥一氏が辞職したことに伴う衆院長崎3区では独自候補の擁立を見送った。こちらは事実上の「不戦敗」となる。

4月に行われる衆院3補選のうち、自民党が候補者を擁立するのは、細田博之衆院議長の死去に伴う島根1区だけとなる。同補選は、自民が擁立した元財務官僚の錦織功政氏(54)と、立民が擁立した前衆院議員で、国政返り咲きを目指す亀井亜紀子氏(58)による与野党ガチンコ対決の構図になるとみられる中、自民党にとっては裏金問題の逆風もあり、厳しい戦いも予想されている。