藤井聡太名人(竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖=21)が初防衛を目指して豊島将之九段(33)の挑戦を受ける、将棋の第82期名人戦7番勝負第1局が10日午前9時からの2日制で、東京都文京区「ホテル椿山荘東京」で始まった。

後手の豊島は今期の挑戦権を争うA級順位戦で7勝2敗で挑戦権を獲得した。名人戦の登場は4期ぶり3回目。トップ棋士10人による総当たり戦で初戦から稲葉陽八段、佐々木勇気八段、前名人の渡辺明九段、永瀬拓矢九段、佐藤天彦九段、中村太地八段に6連勝した後、広瀬章人九段と斎藤慎太郎八段に連敗。6勝2敗と単独トップで迎えた最終局で、5勝3敗で追う菅井竜也八段との直接対決を制し、成績最上位者としてスンナリ挑戦を決めた。

2019年(令元)前の名人戦では佐藤天彦名人(当時)に4連勝のストレート勝ち。佐藤の4連覇を阻み、初の名人をとなった。翌年、渡辺に2勝4敗で名人を失って以来、戻ってきた。

挑戦を決めた時、豊島は「名人を失冠してからはなかなか挑戦争いに加われなかった。タイトル戦の挑戦者になることも難しい状況になっていたので、出られることをうれしく思う」と話していた。今期は藤井に全力でぶつかる。

持ち時間は各9時間。初日の封じ手は午後6時30分の時点で手番の側が行う。昼食休憩は両日とも正午から午後1時。2日目は午後5時から30分の夕食休憩がある。両日ともに午前10時と午後3時におやつが出される。決着は11日夜の見込み。