東京都の小池百合子知事は12日の定例会見で、元側近の小島敏郎氏が、小池氏のエジプト・カイロ大学卒業をめぐる学歴詐称疑惑について月刊誌「文芸春秋」で告白したことの認識を問われ、大学側が卒業を認めていると何度も訴えた。

小池氏は「みなさんは卒業をどう証明されますか?大学でしょ?」と記者に逆質問しながら「大学の卒業を証明するのは友達でも親でも自治体でもなく大学で、私はそれを何度も証明している」と、2020年6月に卒業証書と卒業証明書のコピーを報道陣に公開したことに言及。「大学が証明を何度もしてきている。それについて他の方が詐称とかおっしゃっているのが(意味が)分からない」と指摘した。

今回、文芸春秋で小池氏を告発した、元環境省官僚で小池氏が特別顧問を務める「都民ファーストの会」事務総長を務めた元側近、小島敏郎氏は記事の中で、大学側に卒業を証明する声明文を出してもらうように提案したことや、その声明文は小池氏のブレーンの元ジャーナリストが書いたと後に打ち明けられ、真贋(しんがん)性に疑問を抱いたなどと、主張している。

小池氏は、大学の声明文について「大学当局が意思をもって出されたと認識している」と述べ、声明文を作成するよう第三者に指示したか問われると「大学が発出したことが重要」と繰り返した。小島氏の提案から実際の発出まで3日しかかからず、手際の早さも、小島が疑念を抱く一因になったとしていることにも「そもそも私自身の卒業というファクトがある。ファクトがあって必要なことを発出するベースがあるから、スピード感がある」と反論した。

前回の知事選前に小池氏の学歴問題などが記された「女帝 小池百合子」が出版され、その内容について小池氏から相談を受けたと小島氏が主張していることには「きちんとしたものを出しても、そこに対して疑念が寄せられ、それに対してどうするかという対応をすべきだと思っていた」と主張。小島氏側からの声明文発出に関する提案は「あまり鮮明には覚えていない」と答え「これまでに何度も同じ話が繰り返され、カイロ大も困っていると思う。普通に考えていただきたい」と訴えた。

文芸春秋は「元都民ファーストの会事務総長・弁護士の小島敏郎氏の手記 小池百合子都知事 元側近の爆弾告発『私は学歴詐称工作に加担してしまった』」とした上で、小島氏の手記を掲載している。一方、小池氏は2020年の都知事選出馬表明に合わせて卒業証書や卒業証明書を報道陣に公開し、疑惑を完全否定。カイロ大側も小池氏が1976年に同大学を卒業したとの声明を出し、当時は問題が沈静化した経緯がある。