自民党総裁選で、当初「本命」といわれた小泉進次郎農相(44)は、決選投票で敗北を喫した。期間中に陣営内の「ステマ指示問題」や、地元神奈川の党員票をめぐる疑惑が「文春砲」で表面化。昨年の改革路線からの後退や、勝利を意識するがあまり、慎重過ぎる発言に終始。本来は改革思考の「進次郎らしさ」を発揮できないまま沈む、まさかの結末にも、「私の力不足」と淡々と語った。
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決選投票で高市氏に敗れた進次郎氏は、陣営の報告会に姿をみせた。「去年登ることができなかった山(決選投票)を登ることができたのは、みなさんのおかげ。こんな素晴らしい仲間がいながら結果が出ないのは、私の力不足以外、何物でもありません」。さばさばした表情だった。後見人の菅義偉副総裁や、同じ神奈川選出でくやしそうな表情の河野太郎前デジタル相と握手をかわした。3位に沈み「思い出したくない日」だった昨年の戦いからは1歩前進だが、総裁の座には今回も届かなかった。
「だれがなっても火中の栗」だった今回の総裁選。出馬見送りの臆測もあったが、党の立て直しに向け、出馬にこだわった。ただ、解雇規制見直しや選択的夫婦別姓導入など、党内で意見が割れるテーマの「解決」を打ち出した昨年のスタイルは封印。党内の一致結束を前面に押し出し、野党時代の自民党を総裁として支えた谷垣禎一氏(80)の「みんなでやろうぜ」をことあることに訴えた。
失点回避を意識し過ぎたのか発言は慎重で、「カンペ見過ぎ」批判も起きた。日本記者クラブ討論会では「44歳でそんなに慎重でどうする」と苦言を呈された。「改革しか興味がない」という持論と対照的な、「らしくなさ」を露呈した。
選挙戦のさなかには、自身に好意的なコメントを投稿するよう依頼する「ステマ指示問題」が、陣営内で表面化。事実関係を認め謝罪に追い込まれた。神奈川の自民党員票をめぐる疑惑も「文春報」に報じられ、足元で不安定要素が続出。首相になれば、初代の伊藤博文と並ぶ44歳最年少タイになるはずだった記録も、幻となった。
父の純一郎元首相(83)は3度目の挑戦で総理総裁になった。進次郎氏に近い議員は「(総裁に)なるまで支える」と言い切った。父と同じ「三度目の正直」はあるのか。出直しのスタートだ。【中山知子】

