囲碁の女流タイトル戦で40年ぶりの姉妹対決が実現する。「第29期ドコモ杯 女流棋聖戦」の挑戦者決定戦、上野愛咲美女流名人(女流立葵杯=24)対茂呂有紗三段(26)戦が15日、都内で打たれた。
初手から1手30秒、1分単位で計10回の考慮時間のある早碁の対局は、173手までで上野が黒(先手)番中押し勝ち。妹である上野梨紗女流棋聖(19)への挑戦権を獲得した。
過去のタイトル戦での姉妹対決は5例。女流鶴聖戦では1983年(昭58)に杉内寿子九段(引退)が妹の本田幸子八段(故人)、翌年は2人の妹である楠光子(てるこ)八段が本田に勝った。また、女流本因坊戦では83年に楠が本田、84年に本田が楠、85年に楠が本田をそれぞれ下した。
今回の上野姉妹対決は、それ以来となる。歴史を知らなかった上野愛は、「そうなんですか」と驚いていた。かつては妹との対局を避けていた。一昨年、妹が初タイトルとなる女流棋聖を獲得してから、「早く挑戦したいなと思っていました。妹が挑戦者なら嫌でしたが、私が挑戦者だから気楽に戦えます」という。
6年前に妹がデビューとした際、取りたいタイトルとして当時姉が保持していた女流棋聖を即座に挙げた。姉妹対決の実現に「うれしいです」と笑顔を見せた。
都内の自宅で姉妹は同居しており、研究する部屋も同じ。来年1月15日に神奈川県平塚市「ホテルサンライフガーデン」で開幕する3番勝負第1局までは別居を選ぶのか。「同居一択で普通に過ごします。平塚にも一緒の電車に乗りますが、ただ、無言になるかも」と言う。
姉から見た妹は、「意外に強そう。しっかり準備しないとまずい」と実力を認めている。ただし、「最悪のやりにくさ。家でも研究会でも打たないし」とこの場面では苦笑いした。
無論、囲碁界の先輩として負けたくはない。普段から上野愛は対戦相手に合わせて読み、終盤力など、勉強方法を変えて臨んでいる。「読みで負けたらかっこ悪いので、詰め碁はやります。寄せは負ける気がしない」。妹に過去5戦して4勝1敗の余裕すら感じさせていた。

