天皇、皇后両陛下は17日、公式訪問中のオランダで、国王夫妻の主催する晩さん会に出席された。

天皇陛下は乾杯に先立ち、オランダに1984年の初訪問や、06年に長女愛子さまと静養に訪れた思い出など、18分に及び、両国が築いてきた絆の深さを強調し、感謝の思いを英語でスピーチした。宮内庁公式サイトでも、英語、和訳の全文がそれぞれ掲載された。

晩さん会では、天皇陛下は黒の燕尾服に、白の蝶ネクタイ、青の両脇にゴールドのラインが入った、勲章を付ける大綬をたすき掛けする正装、皇后さまは青の生地にゴールドやシルバーで花模様が入った絢爛なドレスにティアラを合わせたスタイルで出席した。

両陛下は20日までオランダに滞在し、続けてベルギーを訪問した後、26日に帰国予定となっている。

▼スピーチ全文3(和訳)

両国間で現代にまで受け継がれた交流の成果として特筆されるものの一つは、例えば治水です。日本とオランダは、共に水の恵みを受けながら、時に洪水や高潮などの脅威にも向き合ってきました。19世紀後半の明治時代の日本において、ファン・ドールン、エッシャー、デ・レイケを始めとするオランダ人技術者たちが、治水や疏そ水、砂防、港湾整備など我が国の国土の基盤づくりに大きく貢献しました。その功績は、今日に至るまで日本各地で大切に記憶されています。2010年に国王陛下が訪日された際、私たちは利根運河を訪問いたしましたが、この運河もオランダ人技師ムルデルによって設計・監督されたもので、現場には彼の功績を讃える顕彰碑が立っております。

そして、本日、国王陛下と共に、水理・地盤工学の応用研究機関であるデルタレスを視察いたしました。水と共に生きる貴国の知恵とたゆまぬ努力、そして将来を見据えた研究の数々に接し、深い感銘を受けると同時に、国連「水と衛生に関する諮問委員会」等を通じ、国王陛下と御一緒に水の問題に関する国際的活動に取り組んできたことを思い起こしました。この分野で日本とオランダが、広く世界に貢献していくパートナーともなっていることをうれしく思います。

日蘭両国の交流の歴史の中で、医学も大切な役割を果たしてきました。江戸時代に来日したシーボルト、ポンペ、ボードワンなどの多くのオランダゆかりの人々が日本の医学の発展に貢献しました。今回、マキシマ王妃が情熱を持って関与していらっしゃるプリンセス・マキシマ小児がんセンターを視察する予定ですが、日蘭の研究協力が子供達の将来のために活かされることを願ってやみません。

スポーツも両国の交流が深まっている分野の一つです。たとえばスピードスケートでは、多くの日本人選手が貴国を練習拠点として活動しており、これら日本人選手が試合で好成績を上げた際には、オランダの人々からも祝福いただいていることに心を打たれました。またサッカーでは、貴国のプロリーグ1部「エールディヴィジ」に現在9名の日本人選手がプレーしていると聞きます。そして、一昨日のサッカー・ワールドカップにおける日本・オランダ戦は、国王王妃両陛下の御厚意により私たちも、小さな愛らしいプードル犬マンボを連れた両陛下と御一緒にテレビで観戦しました。大変良い試合となり、ピースフルな結果にホッとしました。両国の国民を奮い立たせ、更に結び付ける機会になったものと確信しております。

 

現代の世界に生きる私たちは、多くの面で国境を越えて互いに深く結び付く一方、気候変動問題を始め、地球規模での様々な困難な課題に直面しています。そのような中、日蘭両国国民が手を携え、協力して世界規模での取組を牽引している分野が、数多くあることを大変うれしく思うとともに、次世代を担う若者や子供たちのために、協力の裾野を更に一層広げ、取組を強化していくことを希望してやみません。

日蘭両国が、永続的な友好親善と協力関係を築いていくことを心から願うとともに、国王王妃両陛下の御健勝と、日蘭両国の更なる発展と世界への貢献、そして両国民の末永い幸せを祈り、杯を挙げたく思います。

Proost!(オランダ語で「乾杯」)