節目のJ・G1・10勝目を狙った障害の絶対王者オジュウチョウサン(牡11、和田正)は、1番人気に推されたラストランを6着で終えた。

最終レース終了後には引退式が行われた。馬主の長山尚義氏がコメントを寄せた。

    ◇    ◇    ◇

オジュウチョウサンのオーナーの長山尚義です。中山大障害当日にこのような式を行っていただき、日本中央競馬会の皆さま、ファンの皆さまに本当に感謝しています。ありがとうございました。本日、オジュウチョウサンは競走馬を引退します。

「オジュウチョウサン」という馬名は、家族とともに名付けました。私の息子が子どもの頃、自分のことを「俺(オレ)」と言えず、「オジュウ(俺)オジュウ(俺)」と発音、発声していたこと。そこから「オジュウチョウサン」という馬名が生まれました。今や世界中にたくさんのオジュウチョウサンのファンがいます。これだけの馬を所有できたことは、オーナー冥利(みょうり)に尽きます。

平地競走で未勝利に終わってから障害競走に転向し、彼は「絶対王者」と呼ばれるまでになりました。石神深一騎手を背に不屈の絶対王者として、今日までにG1・9勝の金字塔を打ち立てました。サナシオン、アップトゥデイト、シングンマイケル、メイショウダッサイなど、多くのライバルたちと激闘を繰り広げました。

また、G1・5連勝のあとには平地へ再挑戦し、福島の開成山特別で勝利。ファン投票で選ばれ、天才・武豊と「平成最後の有馬記念」へ出走しました。障害馬、条件馬が有馬記念を目指すところまで来た時、競馬ファンの皆さんの投票によって選ばれたこと、そして、日本一の武豊騎手がオジュウチョウサンを選んで乗ってくれたこと、その2つの奇跡が重なりました。

有馬記念は着順こそ9着でしたが、7歳秋で初めての平地G1挑戦。「障害馬なんて通用しない」という先入観や偏見に負けず、ダービー馬やクラシックホース、多くの平地重賞ウイナーを相手に、最後まで頑張ってくれました。1着から10着までが約4馬身差の激戦でした。

素晴らしい脚力、スピード、スタミナと心肺機能、肺活量、筋肉の柔軟性、これらを持ったオジュウは種牡馬として大成功すると確信しています。有馬記念のスタート直後にハナを奪ったスピードと運動神経、中山グランドジャンプ、中山大障害をレコード勝ちしたスタミナが伝われば、マイルのG1からクラシックディスタンス、そして、凱旋門賞に挑戦するような素晴らしい産駒が、きっと出てくるはずです。彼の父ステイゴールドが偉大な種牡馬となったように、オジュウもそのずばぬけた能力を産駒たちに必ず伝えてくれると思います。

引退式を行うにあたり、JRAから「坂東牧場で種牡馬入り」と発表していただきました。正確には、オジュウは生まれ故郷の坂東牧場でけい養していただきますが、坂東牧場では種付けを行わず、種付けの設備がある種馬場を探している状況です。私が引退を決定したのが10月と遅かったため、けい養していただける種馬場を見つけることができませんでした。

私は「オジュウの血を残したい」、その一心です。そのためなら、預託料が2倍、3倍になっても構わないと思っています(連絡先は株式会社チョウサンへ。年内は12月27日までにお願いします)。

ファンの皆さま、ぜひこれから先もオジュウの走りを語り継いでいって下さい。そして、オジュウの産駒、また、オジュウの活躍した障害競走を応援してください。

生産者の皆さま、たくさんの繁殖牝馬を持っているクラブ法人の関係者の皆さまには、ぜひ所有する牝馬とオジュウとの種付けを検討していただければと思います。彼が大きな種馬場やスタリオンステーションで、人気種牡馬となる日が来ることを願ってやみません。

最後になりますが、この場をお借りして、オジュウチョウサンに携わっていただいたすべての方に感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。オジュウ、お疲れさまでした。