3番人気ファントムシーフ(牡、西村)が好位から抜け出し、重賞初制覇を果たした。鞍上はルメール騎手で勝ちタイムは1分47秒0。ホープフルS4着から巻き返し、クラシックでも主役の座を狙う。逃げたタッチウッドが2着に粘り、1番人気ダノンザタイガーは3着だった。

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巨漢の怪盗ファントムシーフが登竜門のタイトルを奪った。向かい風の直線。好位からタッチウッドを抜き去ると、末脚は最後まで力強かった。殊勲のルメール騎手は「手応えが良かったし、スタミナがあるので全然止まらなかった。いいポジションが取れて、冷静で息も入ったからね」と笑顔で快勝劇を振り返った。

新馬、野路菊Sを連勝後、前走ホープフルSで初黒星を喫した。敗因はダッシュがつかず、後方からの競馬になったこと。西村師は事前の作戦を明かした。「とにかくスタートだけ。(ハナヘ)行く馬がいるので、行かせて2番手、と話していました。ジョッキーも追い切りで『長くいい脚を使うね』と言ってくれていたので」。タッチウッドが道中まくり気味に先頭に立ったのも想定内。完璧なレースプランができていた。

生産は馬産地・浦河で明治45年創業の老舗「谷川牧場」。73年ダービー馬タケホープ、81年菊花賞馬ミナガワマンナ、94年オークス馬チョウカイキャロルや昨年中山大障害覇者ニシノデイジーなど多くの名馬が生まれてきた。ファントムシーフの母ルパン2は17年にタタソールズ社(英国)の繁殖セールで落札(落札者はエバーユニオン商会)。父の父ダンシリと母の母プロミシングリードが100%同じ血統構成という斬新な血統の持ち主だ。

賞金加算に成功し、クラシックの舞台が見えた。「(馬体重は)前走と同じ数字だったけど、いい体だったと思う。目標のレースが決まればそれに向かってやっていくだけ。跳びも大きいし広いコースが合うと思っていたので、東京で勝てたのは良かったなと思います」と西村師。府中の直線を攻略した怪盗が、皐月賞(G1、芝2000メートル、4月16日=中山)、その先のダービー(G1、芝2400メートル、5月28日=東京)で主役の座を狙っていく。【木南友輔】

◆ファントムシーフ▽父 ハービンジャー▽母 ルパン2(メダリアドーロ)▽牡3▽馬主 (有)ターフ・スポート▽調教師 西村真幸(栗東)▽生産者 谷川牧場(北海道浦河町)▽戦績 4戦3勝▽総収得賞金 7457万4000円▽馬名の由来 怪盗。母名より連想