5月6日のG1ケンタッキーダービーの第4回前売りが12日に締め切られました。

それぞれの地区前哨戦がまだ行われていない時期だけに1番人気はこれから現れるであろう「それ以外の馬」の3倍。主催者が任意で選んだ39頭の有力候補の中では、エクリプス賞の最優秀2歳牡馬に輝いたフォルテ(牡3、父ヴァイオレンス)が9倍となって実質の1番人気となっています。

しかし、この39頭の中にはフォルテが勝ったG1、BCジュベナイルで1番人気に推されて2着したケイヴロック(牡3、父アロゲート)の名前がありません。

それはケイヴロックがB・バファート調教師の管理馬だからです。一昨年のケンタッキーダービーで1位入線し、その後に失格とされたメディーナスピリットに禁止薬物ベタメタゾンを使用したことで、バファート厩舎の馬は、昨年に続き今年もケンタッキーダービーに出走することが出来ません。

ケンタッキーダービーに出走する20頭はダービーに連なるシリーズ重賞に付与されるポイントの獲得順で決まります。しかし、バファート厩舎の馬については、そのポイントも与えられないことになっているため、馬主がケンタッキーダービー出走を希望する場合は、他の厩舎に移籍させてポイントを積み上げるしか手はありません。

大御所のバファート厩舎には今年も片手に余るダービー候補がひしめいていますが、その中でもトップクラスのケイヴロックや25日のサウジダービー(G3、ダート1600メートル、キングアブドゥルアジーズ)で人気を集めるハヴンアメルトダウン(牡3、父アンキャプチャード)とスピードボートビーチ(牡3、父バイエルン)は、みなバファート師の友人であるM・ペグラム氏と、そのパートナーの持ち馬。バファート師とペグラム氏はサウジダービーの結果を受けて、転厩を含め、それぞれの先行きを模索することになりそうです。

サウジダービーには日本から全日本2歳優駿の覇者デルマソトガケ(牡3、音無)を筆頭に、エコロアレス(牡3、森)、コンティノアール(牡3、矢作)、フロムダスク(牡3、森)の4頭が挑戦します。【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)