北のダート王は俺! 日曜札幌メインはエルムS(G3、ダート1700メートル、6日)が行われる。

函館の大沼S、マリーンSを連勝中のペプチドナイル(牡5、武英)が、史上初の「北海道ダート3冠」を狙う。17年に記録を懸けて挑んで2着だったテイエムジンソクの調教に騎乗していた武英智調教師(42)と富田暁騎手(26)の2人は、同馬の借りを返すべく強い思いを秘めている。

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北都でペプチドナイルが真夏の快挙に挑む。大沼S、マリーンSとも先行力を発揮して、3馬身差以上の完勝と圧倒的なパフォーマンス。斎藤助手は「もともと能力はあったけど、型にはまってきた感じ。大沼Sは絡まれた中で勝ちましたから。滞在競馬も合っています」と目を細める。札幌入厩後も馬体にボリューム感があり、風格が漂う。

リベンジの思いは強い。「北海道ダート3冠」が懸かった17年エルムSのテイエムジンソク。レコード決着のレースは古川吉騎手が乗り、ゴール寸前でロンドンタウンに差されて半馬身差2着に敗れた。当時調教をつけていたのが木原厩舎の助手だった武英師。ペプチドナイルの鞍上の富田騎手も携わった。師は「その時は僕がずっと乗っていたんです。あの経験が生きてくればと思っています。個人的にはめちゃめちゃ力が入っています」と意欲満々。同騎手も「歴史に名が残る今までにないチャンス。テイエムジンソクは僕も調教で乗ったことがあるし、ペプチドナイルに似たようなところもあります。先生(武英師)と一緒に借りを返したいですね」と力を込める。

7月29日の1週前追い切りは、札幌ダートの併せ馬でいっぱいに追われた。富田騎手を背に6ハロン79秒4-11秒9。3馬身追走したガリレイ(古馬2勝クラス)に2馬身先着した。師は「相手も動く馬でどのくらい動けるかと思ったが、しっかり動けていたし、オフからオンに変わっている感じがある。反応も良さそうだった」と満足げ。鞍上も「今日は負荷をかけたいと思っていましたし、いい併せ馬ができたと思います。順調にきています」と納得顔だ。現行のレース体系となった01年以降、3頭が挑戦して阻まれた“ハットトリック”。2人の強い思いが壁を打ち破る。【井上力心】

◆北海道ダート3冠 オープン特別の大沼S&マリーンSと、重賞のエルムS(すべてダート1700メートル)のレース体系になった01年以降、すべて制した馬は1頭もいない。04年ウインデュエル、17年テイエムジンソク、19年リアンヴェリテが2連勝してエルムSに出走したがそれぞれ2着、2着、5着に敗れた。

◆マリーンS組のエルムS成績 マリーンSがハンデ戦となった14年以降【6 3 1 31】の勝率14・6%、連対率22%。20年タイムフライヤー、21年スワーヴアラミス、22年フルデプスリーダーと3年連続でマリーンS1着馬がエルムSも制している。