遅れてきた大物が馬具効果で完全開花だ! 夏競馬唯一のG2となるサマー2000シリーズ第4戦・札幌記念(芝2000メートル、20日)では、ソーヴァリアント(牡5、大竹)に注目だ。すでに重賞2勝の素質馬が、馬具の工夫でさらに充実ムード。夏の頂上決戦で、同じ5歳世代のダービー馬シャフリヤール、G1馬ジャックドールに挑む。

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強豪ひしめき合う5歳世代からまた1頭、新星誕生の予感がする。この日、朝一番に函館で馬場入りしたソーヴァリアントだ。重賞勝ち馬らしくどっしりとしていて迫力十分。松浦助手は「追うごとに体も締まってきて、力強くなっている。軽さもありつつ、走りはパワフル。いい頃の感じになっている」と納得の表情を浮かべた。

最大の敵は「己」だ。半姉に重賞馬マジックキャッスルがいる良血馬。デビュー当初から期待され、重賞も2つ勝ったが、近2走は9、12着と案外な結果が続いている。原因は精神面。「調教の感じが競馬にリンクしない。相手うんぬんよりも自分の走りをしてくれれば」。ポテンシャル通りなら、豪華メンバーが相手でも引けはとらない。

全能力を発揮するため、今回から馬具を変更する。ハミを、矯正力が比較的弱いとされる「ダブルジョイント」から、ある程度、矯正力が増す「リング」に替える。以前にあった、ハミが上あごに当たると嫌がる面が解消され、より制御を重視したハミへの変更が可能となった。「普段の調教も乗りやすく、馬の後ろでもピタッと折り合いがつく」。エキサイトし過ぎる気性面をコントロールできるようになった。

舞台は2戦2勝の札幌。名手ルメール騎手が今回も手綱をとる。馬具効果で完全開花へ。同世代の強豪たちを打ち破り、秋の大舞台へ打って出る。【藤本真育】

◆5歳世代 ソーヴァリアントと同じ現5歳世代は強力だ。牡馬では、21年の年度代表馬エフフォーリアこそ現役を引退したが、ダービー馬でドバイシーマCも制したシャフリヤールは今回の札幌記念に出走。菊花賞馬タイトルホルダーはG1・3勝を挙げ、今年の大阪杯を勝ったジャックドールに、NHKマイルC覇者シュネルマイスターなど強豪がひしめく。牝馬もG1・3勝の白毛馬ソダシをはじめ、安田記念連覇のソングライン、重賞6勝メイケイエールなど、まさに黄金世代だ。