真夏のダービーの異名を取るG1トラヴァーズS(サラトガ、ダート2000メートル)が、26日土曜に行われます。22日時点で出走が予定されているのは7頭。

日本でも馬券発売がされたG1ケンタッキーダービーを制したメイジ(父グッドマジック)、2冠目のG1プリークネスSでメイジを破ったナショナルトレジャー(父クオリティロード)、そのナショナルトレジャーをG1ベルモントSで退けたアルカンジェロ(父アロゲート)と、今年の3冠それぞれの勝ち馬に加え、本命視されていたケンタッキーダービーの前日に脚をぶつけて出走を取り消し、その後、ベルモントS2着を挟んで臨んだ7月のG2ジムダンディS(サラトガ、ダート1800メートル)で復活勝利を飾った“幻のケンタッキーダービー馬”フォルテ(父ヴァイオレンス)も参戦予定。11月4日に行われるG1ブリーダーズCクラシック(サンタアニタパーク、ダート2000メートル)に向かう3歳馬のトップを決める顔ぶれとなっています。

トラヴァーズSに3頭の3冠勝ち馬がそろうのは00年以降、これが2度目。最強3歳馬決定戦と騒がれた17年は、この年の2月にデビューして3冠には間に合わなかった新鋭ウエストコーストが優勝。春に活躍した馬たちが総崩れに終わった前例もあり、今年も前出のフォルテや、2番人気のケンタッキーダービー7着、ベルモントSも3着ながら非凡な能力がうわさされるタピットトライス(父タピット)など3冠で結果を残せなかった実力馬に注目が集まっています。

米国では18年にジャスティファイが3冠馬となった後の5シーズンは3冠競走の勝ち馬が、すべて異なっていてスーパースターが出にくい状況が続いています。

これを近年の米国馬のレベル拮抗(きっこう)の結果と見ることも出来そうですが、5月の第1土曜に始まってわずか5週間で完結する現在の3冠日程に疑問を呈する声も少なくなく、競馬サークルからは時代にそぐわない厳しすぎる日程を見直そうという動きも出始めています。【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)