地に足をつけて史上3頭目の連覇を目指す。天皇賞・秋(G1、芝2000メートル、29日=東京)の最終追いが東西トレセンで行われ、G1・5連勝を目指す世界ランキング1位のイクイノックス(牡4、木村)は美浦ウッドで3頭併せを消化した。今回は宝塚記念以来の一戦。迎え撃つ立場となっても、普段通りのメニュー消化で実に順調な調整ぶりをうかがわせた。なお、天皇賞・秋の枠順はきょう26日に確定する。

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飾らぬ最強馬の姿があった。イクイノックスはいつもの美浦ウッドで3頭併せをこなした。直線は両隣に僚馬を置き、段階的にギアを上げていく。軸はぶれず、大きなアクションも必要としない。むしろ加速を我慢させるほどの強烈な手応えで伸びていった。5ハロン67秒6-11秒3。内ソニックライン(2歳未勝利)と併入、外ボーデン(古馬3勝クラス)に2馬身先着した。

普段通りの最終追い。木村師は「(厩舎として)基本的なところ、大事にしている部分ができるかどうか。通常営業というか、そこができるかどうか。先週、今週の追い切りでの大きなテーマでした」と話す。

1週前にルメール騎手騎乗で追い切りをこなし、鞍上の感触を踏まえて当週は助手騎乗で仕上げる。ルーティンとも呼べる調整で、連覇への道筋を立ててきた。

秋は調整面で地の利がある。上半期はドバイ遠征、栗東滞在での宝塚記念参戦といわばアウェー戦が続いた。師は「23年の前半は精神面での戦いからがスタートみたいなところがあった。ホームに帰ってきて、落ち着いているし、ゆったり過ごしているのはある意味成長なのかな」と頼もしさを覚える。

連覇挑戦の今回、大目標の次戦ジャパンCは慣れた美浦で調整ができる。夏の放牧で疲労を抜き去り、元気で健康な状態が「基本のキ」。そして、「注目度が高いのは十二分に分かっているからこそ、余計にその部分がおろそかにできない」と緊張感をもって続けた。

ダービー馬ドウデュースとの再戦に注目は集まるが、強敵へのリスペクトをもったまま目の前の一戦に集中する。木村師は「尊敬すべき存在なのは大前提。そこは声を大にして言いたい。さりとて、やるべきことはイクイノックスを日曜の午後に素晴らしい状態で、より良い状態でファンの皆さまにお見せして、そこに導いていくことだと思っている」と力を込めた。決して浮足立つことはない。最強馬は着実に状態を上げ、シンボリクリスエス、アーモンドアイに続く史上3頭目のV2に臨む。【松田直樹】

<ルメールと一問一答>

-1週前追い切りは

ルメール騎手 すごくいい感じ。(ウッド6ハロン78秒9-11秒8で)時計はけっこう出たけど、彼にとっては楽な追い切り。宝塚記念の前は体が細かったけど、今回は体が大きくなった。またパワーアップした。

-ドウデュースと再戦

ルメール リマッチですね。3歳の時はイクイノックスもいい競馬をしていたけど、ドウデュースがちょっと大人だった。今はイクイノックスもすごく良くなった。違う試合ですね。

-レースプランは

ルメール いいスタートをしたら前の方かミドルポジション(中団)になる。東京の2000メートルは(最初の)カーブが早めに来るので、できればカーブの前にポジションを決めたい。2000メートルでも2200メートルでも2400メートルでも、どの距離でも慣れてるけど、東京の2000メートルは彼にとっていいコースだと思う。