芝2000メートルで行われるホープフルSは翌年のダービーの登龍門となるレースです。英国では10月下旬に行われるG1フューチュリティトロフィーが、これにあたり、昨年はディープインパクト産駒のオーギュストロダンが制して今年の英・愛ダービー連勝につなげました。

今年のフューチュリティトロフィーは“ゴドルフィン”のアンシエントウィズダム(牡2、父ドバウィ)が勝っていますが、英ダービーの前売り人気は2番人気にとどまっています。

これに代わって1番人気に推されているのは、デビューから負けなしでカルティエ賞の最優秀2歳牡馬に輝いたシティーオブトロイ(牡2、父ジャスティファイ)です。

米国産でA・オブライエン厩舎に所属するシティーオブトロイは7月のデビュー戦、2戦目のG2スーパーレイティブS、そして英国2歳王者を決めるG1デューハーストSまで芝1400メートル戦を3連勝。デューハーストSで不得手が伝えられていた重馬場を克服、これまで数々の名馬を育てあげたオブライエン師が、自身の最高傑作と呼んだコメントにも後押しされて皐月賞に当たる英2000ギニーで単勝2・0倍、英ダービーも3・5倍の抜けた1番人気となっています。

血統は父が不敗の米3冠馬ジャスティファイ、母トゥギャザーフォーエバー(その父ガリレオ)は2歳G1のフィリーズマイルの勝ち馬で、近親にG1英オークス馬フォーエバートゥギャザーを持つ良血。欧州圏外の一流種牡馬をパートナーに求めた成功パターンはオーギュストロダンと同じです。

英国のブックメーカー、ラドブロークスは秋のG1凱旋門賞でも1番人気(2番人気オーギュストロダン)に推し、出走の可能性は少ないとみられるものの、米国のG1ケンタッキーダービー、さらにはG1ブリーダーズCクラシックでもそれぞれ3番人気に置くなど国際的な二刀流に育つ可能性があることを指し示しています。【ターフライター・奥野庸介】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「ワールドホースレーシング」)