佐賀競馬場で2月11日(日)に、2024佐賀競馬引退競走馬支援推進デーとして「引退競走馬サミット」が行われる。引退した競走馬がよりよい余生を過ごせるよう、私たちが取り組めることを考える機会とし、引退競走馬支援の活動を知ってもらう機会とする。日刊スポーツではサミットを前に、引退競走馬について考える5回連載を行う。第2回は、競走馬のライフサイクルについて考え、JRAを中心とした支援の取り組みを紹介する。

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日本中央競馬会(JRA)を監督する農林水産省のホームページには「馬産地をめぐる情勢」が掲載されている。競走馬(サラブレッド)のライフサイクルなどが示されており、具体的な数字も挙げられている。

たとえば21年末の競走馬の在籍登録頭数は中央競馬9052頭、地方競馬1万2406頭で合計2万1458頭。そのうち約半数の1万809頭が翌22年中に登録抹消となっている。

抹消事由の内訳は、再登録3782頭(中央→地方3413頭、地方→中央369頭)が最も多く35%。続いて乗馬3042頭(中央827頭、地方2215頭)で28%、繁殖1194頭(中央684頭、地方510頭)で11%となる。他に研究32頭(中央のみ)、へい死1012頭(中央120頭、地方892頭)、その他1747頭(中央156頭、地方1591頭)となっている。種牡馬や繁殖牝馬となるのは10頭に1頭、乗馬に転向できる馬も約3割という数字だ。

もちろん、JRAでは早くから引退競走馬の支援に取り組み、ここ数年はさらに加速させている。17年12月に「引退競走馬に関する検討委員会」を設置。JRAを中心に馬主協会、調教師会、騎手クラブ、生産界、地方競馬の主催者、そして農水省が一体となって、引退競走馬の利活用に資する取り組みを検討し、実際に支援を実施している。23年にはJRAだけで約13億7400万円を拠出。他の団体の支援に加え、馬券の売り上げからも支援金が拠出されているため、引いては競馬ファンも大きな力になっている。

国際的にも引退馬支援は重要項目で、IFHA(国際競馬統括機関連盟)は引退競走馬の適切な処遇に「最大限の努力を払うこと」を競馬主催者に求めている。17年5月には欧米を中心に、競走馬のアフターケアのレベルアップを図るべく国際レベルのフォーラム(IFAR)が発足。今年の夏には札幌で引退馬フォーラムが行われる。

他にもJRAは、引退競走馬の馬術大会を開催したり、宇都宮の育成牧場では乗用馬となるためのリトレーニングも開始。そもそも引退競走馬が誘導馬を務めているのは世界でも日本だけだが、引退馬のセカンドキャリアを少しでも広げるべく、さまざまな取り組みを進めている。

当然、一朝一夕ですべてが好転する問題ではない。JRA馬事部馬事振興室の八田宗久上席調査役は「競馬サークル全体で問題意識を共有し、継続的、安定的な取り組みのために協力し合い、引退競走馬のセカンドキャリア促進と高齢、引退馬対策(養老、余生)について、長く取り組んでいくことが大事です」と話している。