「よくわからないですねえ」。ジャンタルマンタルがNHKマイルCでマイルG1・2勝目を挙げた直後、社台ファームの吉田照哉代表が父パレスマリス(牡14)についてニコニコ顔で語った。
同馬は現役時代に2400メートルの13年ベルモントS、マイルのメトロポリタンHを勝った馬。半弟のアイアンバローズは昨年のステイヤーズS、ジャスティンパレスは昨年の天皇賞・春を優勝している。ジャンタルマンタルの母インディアマントゥアナ(現在パレスマリスとの子を受胎中)は芝2200メートルの米G3レッドカーペットH優勝馬でもある。「(父は)アメリカでは長距離馬だったのに、日本に来たら(産駒は)マイルでね。血統的には絶対長いと思っていたのに。まあ、馬の個性がいろいろありますから」。血統の字面だけでは計れない、魅力的なスピードを発揮してくれた。
現3歳世代のパレスマリス産駒は6頭。産駒たちはこれまでのべ26頭の出走で8勝を挙げ、その距離の内訳は1800メートル2勝、1600メートル5勝、1200メートル1勝。好走距離はマイル寄りだ。芝での6勝はこの日のNHKマイルCに出走したノーブルロジャー(12着)と2頭で挙げたものだが、この世代の産駒全体の勝率は30・8%、連対率46・2%と、高いスピード能力が求められる日本競馬へ高い適応力を示している。
子どもたちの活躍が今、父の評価を猛烈に高めている。パレスマリスは今年、日本へと輸入されダーレー・ジャパン・スタリオンコンプレックス(北海道日高町)で供用を開始。種付けシーズンが始まる前から受け付けをいったん休止するほど、多くの交配申し入れがあったという。父の父カーリン(現役時は07年ベルモントS、08年ドバイワールドCなどG1・7勝)は昨年のエクリプス賞年度代表馬コディーズウィッシュなどを輩出した大種牡馬。昨年まで種牡馬生活を送っていた米国では、初年度産駒に米2歳G1の19年BCジュヴェナイルターフの勝ち馬ストラクターがいるなど、産駒たちは早期活躍が見込める。
日本での代表産駒となったジャンタルマンタルも最優秀2歳牡馬の勲章が示す通り、キャリアの早い段階から活躍した。皐月賞では果敢に先行し、レコード決着を演出する3着に激走。この日は最適距離とされるマイルに戻って、残り400メートルでもすぐ内にいた桜花賞2着馬アスコリピチェーノの進路を締めつつ、馬なりで追いだしを待つ場面すらあった。勝ち時計1分32秒4は昨年以前と比較しても優秀な部類に入る。稼ぎ頭の息子は中2週にも耐える、頑丈さも見せてくれた。
一躍、脚光を浴びることになった種牡馬パレスマリス。数年後、新興勢力として多くの馬たちが大舞台を沸かせているかもしれない。

