3月から調教師に転身する秋山真一郎騎手(45)が今週末24、25日の小倉でラスト騎乗を迎える。97年に騎手デビューし、G1・2勝を含むJRA重賞38勝を挙げてきた。「騎手に未練しかない」と話しながらも、ムチを置く心境を語った。

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引退までのカウントダウンが進む-。「一生、ジョッキーがよかった」。秋山真騎手はそうつぶやいた。元騎手の父・忠一さんの存在もあり、子どもの頃から憧れてきた騎手の世界。97年にデビューしてから、JRA重賞38勝を挙げるなど第一線を走り続けた。それでも、28年の現役生活にピリオドを打つ決心をした。

「けがで思い通りに乗れない感じもあった。年齢とともにヘタクソになったし、依頼も極端に減ったからね。でも、たくさんいい馬に乗せてもらって、感謝しています」

超難関といわれる調教師試験に一発で合格。だが、試験の勉強をすればするほど“騎手”が遠ざかる感覚に複雑な気持ちを抱いていたという。「自分がジョッキーだという誇りはすごくある。これは譲れなかった。自分が理想とするジョッキーで(ここまで)こられたとは思いますよ」。表情が少し、和らいだ。

カレンブラックヒル、ベッラレイアなどで、ともに重賞8勝を挙げた平田師は「馬に対してやわらかいんだよね。無理もしないし。秋山あっての平田厩舎だよ」と感謝を口にする。関係者からの信頼も厚く、鞍上の人柄がよく伝わる。

最後は小倉でステッキを置く。日曜には引退式も行われ、次のステップへの花道が待っている。「競馬で泣いたこと、1回もないんですよね」。そう話しつつ、引退の日は「泣きます」と笑顔で宣言した。日曜小倉の夕暮れ時、秋山真騎手はどんな表情をしているだろうか。【下村琴葉】

◆秋山真一郎騎手のG1制覇 12年NHKマイルCをカレンブラックヒルで勝って初制覇。同年阪神JFをローブティサージュで勝利した。Jpn1は14年ジャパンダートダービーをカゼノコで制している。

◆引退式 秋山真騎手の引退式は、25日(日)の小倉競馬場で午後4時半ごろから行われる。場所はウイナーズサークル。その模様はYouTube「JRA公式チャンネル」でライブ配信されるほか、グリーンチャンネルで午後5時まで放送される。また、阪神競馬場では24日(土)~3月3日(日)の競馬開催日に、パネル展示「秋山真一郎騎手 メモリアル展示」を西ウイング2階で開催。25日(日)には小倉で先着3000人に、阪神で先着7000人に、秋山真一郎騎手メモリアルリーフレットのプレゼントが行われる。