ディープ級の大物よ出てこい! 弥生賞ディープインパクト記念(G2、芝2000メートル、3月3日=中山、3着までに皐月賞優先出走権)の最終追い切りが28日、東西トレセンで行われた。「追い斬り激論」では血統的にも筋が通る2頭の大物候補をチョイス。大阪・太田尚樹記者が凱旋門賞馬ソットサスの全弟シンエンペラー(牡、矢作)、東京・井上力心(よしきよ)記者が無敗の4・5億円ホース、ダノンエアズロック(牡、堀)をそれぞれイチ推しとした。

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井上 レース名だけでディープの強さが鮮明によみがえってきますよね。

太田 そうやな。生前に社台SSで撮らせてもらった2ショットは今や俺の家宝。思い出すと涙出るわ。

井上 まあ涙を拭いて。ディープ級の大物誕生に期待しましょうよ。さて西の大将シンエンペラーの動きはどうでしたか?

太田 栗東坂路で4ハロン54秒6-11秒9。あごを突き出すような独特のフォームで、粗削りやけど推進力たっぷりやった。

井上 新コンビの川田騎手の評価は?

太田 「とてもいい馬です」と開口一番いい評価やった。「まだまだ幼く、クラシックへ向かうにあたって経験が必要なタイプですが、だからこその弥生賞だと思うので、先々につながっていく競馬ができれば」と課題を指摘しつつも確かな能力は感じてた。

井上 昨年の京都2歳S制覇、ホープフルS2着。賞金的には余裕もあるし、たたき台ってことはないですか? 1週前も正直軽めの調整でしたし。

太田 いやいや、むしろ状態はG1の前走以上やで。矢作師も「前回よりいいと思う。新馬戦が一番いい状態で、その後の2戦は決していい状態ではなかった。今はソエも気にならない。十分に力を出せると思う。負けられないよね」って自信の口ぶりやった。底知れん潜在能力を感じたわ。

井上 いやいや、4・5億円ホース、ダノンエアズロックも潜在能力なら負けてませんよ。前走アイビーSではホープフルS1着馬レガレイラを完封。雄大でダイナミックなフットワークからも大物感が漂います。

太田 激推しやな。追い切りはどうやったん?

井上 美浦ウッドの併せ馬で5ハロン64秒8-11秒4をマークし古馬相手に追走併入。大跳びで前肢のかき込みは迫力満点。内を回ったとはいえ、見た目以上に時計が出ていました。

太田 いっぱいに追った先週よりも全体時計は速かったんやな。

井上 そうなんです。3週連続追い切りに乗ったキング騎手も「今週は微調整で反応を確かめる程度。ここ数回の追い切りでフィットネスが良くなっている。自信を持って満足いく仕上がりで競馬に向かえます」と、短期免許ラストウイークを華々しく飾るつもり。さらに成長した姿を見せてくれるはずです。

太田 初の中山は鍵になりそうやな。

井上 走りは一見東京向きですが立ち回りはうまいタイプですからね。堀師は「リズムよくレースできれば結果はついてくると思う」と自信ありです。

太田 素質馬同士の初対決、見ものやな。ま、俺は負けんけど。

井上 レース後に泣いても慰めませんよ。