キズナ産駒ジューンテイク(牡、武英)が“東上最終便”に飛び乗った。初騎乗の藤岡佑介騎手(38)は中団前方から最内を突く好判断で8番人気の低評価を覆した。順調なら26日東京のダービー(G1、芝2400メートル)で父の背を追う。

攻めて、攻め抜いた。発馬で伸び上がったジューンテイクの手綱を押し、先行集団へと押し上げた。引っ掛かるリスクは覚悟の上だ。初騎乗の藤岡佑騎手に迷いはなかった。好位で我慢させ、勝負の時を待った。

「いつも思ったよりポジションが後ろになると聞いていたので積極的に出していった。『何とか我慢して』と道中はなだめていた。余力も十分にあって、間を割ってこられれば抜けられる手応えだった」

直線入り口でインが空く。今だ。ラスト150メートル付近。内ラチ沿いのVロードをこじ開け、白いシャドーロールが先頭へ躍り出た。最内枠を生かしてロスなく2200メートルを走り切る会心の好騎乗。検量室前へ引き揚げると、両手で相棒の首筋をたたいてねぎらった。

キズナとの親子制覇を果たし、その勢いのままダービーを制した父の背中を追う。武英師は「ちょっと無理をして使ってきた中でどんどん良くなっている。(口取り)写真を撮る時にはもうケロッとしていた。無事なら行きたい」と、騎手時代を通じて初挑戦となる大舞台へ思いをはせた。頂上決戦まであと3週間。野望を胸に、東上への準備を整えていく。【太田尚樹】

◆ジューンテイク ▽父 キズナ▽母 アドマイヤサブリナ(シンボリクリスエス)▽牡3▽馬主 吉川潤▽調教師 武英智(栗東)▽生産者 ヒダカフアーム(北海道浦河町)▽戦績 9戦3勝▽総獲得賞金 9820万5000円▽馬名の由来 冠名+取る