ドバイ国際競走の注目人物連載「侍ホースマン」(全3回)を今日26日からスタートする。第1回はドバイターフ(G1、芝1800メートル)にドウデュース(牡5、友道)で挑む武豊騎手(55)を取り上げる。

    ◇    ◇    ◇

無念、そして栄光-。運命に翻弄(ほんろう)された「1年前」を乗り越えて、武豊騎手とドウデュースの絆はより強く、より尊いものとなった。

22年凱旋門賞で19着に敗れた悔しさを、23年初戦の京都記念快勝で晴らし、再び世界へ挑んだ1年前。日本のダービー馬の意地を…。多くの期待を背負い、万全を期してドバイへと臨んだ。しかし、直前で左前肢ハ行のため出走取り消し。「昨年は悔しい思いをした。ゲートインすらしていないからね」。武豊騎手は硬い表情で振り返る。

帰国後は休養を挟んで10月天皇賞・秋でリスタートしたが、ここでも不運に見舞われた。武豊騎手が当日に負傷し、急きょ乗り替わりとなったのだ。失意のレジェンドは続く、ジャパンCもテレビ越しに見るしかなかった。そんな中“ドウデュースに乗ること”が、リハビリを続ける武豊騎手の希望だった。

そして年末の有馬記念。鮮やかな差し切り勝ちに、人馬の復活劇を見た。「有馬記念でいいレースができたし、今年はこの馬にかけるものが大きい」。レジェンドが伝える大きな期待が、ドウデュースのずばぬけた能力を表している。

13日の追い切りではCウッド6ハロン79秒5-11秒0を計時。今年初めて手綱を握った武豊騎手は「相変わらずいい動きだなと。反応も抜群でした。折り合いもバッチリだったし、特に不安材料は何もない」とうなずいた。日本からの大きなエールを胸に昨年の忘れ物を取りにいく。【下村琴葉】