28年目のベテラン勝浦正樹騎手(45)が6日、14日の中山開催を最後に、現役を引退することを発表した。

中山最終レース終了後に報道陣に対応。決断への思い、裏側、周囲への感謝を口にした。

「常に危機感を持って続けてきましたが、本格的にぼちぼちかなと現実的に思いだしたのは去年の夏ごろ。夏から年末にかけて、けっこう休みがあったり、騎乗依頼が思うようにいただけず、もうやっていてもしょうがないなと。福島や新潟に1、2頭乗りに行くと正直マイナスになって(貯金を)切り崩したりもリアルに体感しました」

「そうこうしているうちに小倉を頼まれて、毎日(調教に)乗ったりして、最後まで勤め上げました。その後中山に戻ってきて、うーんというところ。考えてはいたけど、どこかで区切りをつけないといけないと思って、デビューの地、地元でもあるので中山で終わろうと。前回の開催の終わりくらいで決めました。近い人たちには第3回中山で終わりにしますと伝えていました」

「引退をどう発表したらいいのかと、JRAにも聞いたりしました。縁あってテレビに出させてもらっていて、たまたま関係者と連絡を取ることがあって、テレビで先出しになることになりました。JRAにもそれを確認して、隠していたわけでもないですし、関係者の方もそれなりには知っていたと思います。ただ、少ない人にしか伝えていないので、今日知った人もいると思います。発表前にはお世話になった人にも少しずつ連絡したつもりでした」

「同期の秋山や武士沢が引退するのを見て、もう28年目やってたんだ、という感覚ですね。自分の中では思っていたより、こういう日が来るのが早かったなという気持ちもあるし、ちょっとだらだらやってしまったな、という気持ちもあります。本当に感謝しかないですよね。僕を競馬学校に合格させてくれてからがスタートなのでJRAにも感謝していますし、厩舎関係者、馬主さんにも感謝ですし、今日も声をかけてくれたりしたファンの方にも感謝ですね」

「やめるにあたっては勝った時の喜びが感じられないのか、という思いと、もう迷惑をかけなくていいのか、という思いといろいろな思いですね。今はすっきりした気持ち。そういう気持ちに持っていったというのが正しいかもしれないですね。自分で感じない衰えはあると思いますけど、体はどこも痛くないですし、体重がきついということもないです。一番は求められなくなっているところですね。上手だと自分で思ったこともないですし、若い子が出てきている中で乗せてもらえることは本当にありがたかったですね」

「西山社長にも報告させていただいて『そうか。もちろん思い出はいっぱいある。ありがとな』という感じでした。すごくたくさん馬も用意していただいて、来週も勝負になる馬も乗せてもらえるので最後に頑張りたいですね」

「(今後は)今までのジョッキーさんは調教師や調教助手になる人もいましたが、自分は考えていないです。現場は離れます。今はゼロですけど、競馬の仕事などをいただけて、見る側で盛り上げていければいいなと思いますが、その辺りは分からないですね。中学を卒業して競馬学校に入って、この業界にしかいないので不安はありますけど、楽しみもあります」

同騎手は97年3月にデビューし、6日現在でJRA965勝を挙げている。02年NHKマイルCのテレグノシスでJRA・G1を初勝利。07年はゴスホークケンで朝日杯FSも制している。