厩舎の“先輩”といざ頂点へ! 春の京都開幕週を飾るマイラーズC(G2、芝1600メートル、21日、1着馬に安田記念優先出走権)では、ルーキー吉村誠之助騎手(18=清水久)が重賞初騎乗を迎える。タッグを組むのは競馬学校生の時から乗っていた自厩舎のボルザコフスキー(牡5)。背中を熟知している相棒と、重賞初騎乗初勝利を目指す。

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誰よりもその背中を知っている。吉村騎手は競馬学校の研修時からボルザコフスキーの調教をつけていた。「その時から調教で動けていましたし、レースもいい内容でした」。相棒は昨年末にオープン入り、同騎手は3月にデビュー。それぞれの階段を上ってきた。

実戦で初タッグを組んだ六甲Sでは内から力強く抜け出し、勝利へと導いた。自身にとっても、初白星がリステッド勝ちとなった。「勝てるチャンスはあると思っていました。うれしいというよりも、ホッとしましたね」。

デビュー前、騎手としてのセールスポイントを「折り合いや馬を抑えるところがたけていること」と話していた。調教やレースでもその長所が生きている。前走も馬が少し行きたがったところをしっかりと抑え、ラストの末脚につなげた。

勝負師の一面を見せながら、ムチを置けば明るい18歳。ある厩舎スタッフは「誠之助がいて、ますます笑いの絶えない厩舎になった」と話す。それでも仕事となればきっちりとこなす。オンオフをしっかり切り替える若武者は、すでに厩舎にとっても欠かせない存在となっている。

「初勝利させていただいた馬に継続して乗せていただいて、重賞に乗せてもらえるということで、ありがたい気持ちでいっぱいです。初めての重賞ですが、自信を持って臨めると思います」。お互いをよく知っている“先輩”と一緒なら大舞台でも心強い。【下村琴葉】

◆JRA重賞初騎乗初勝利 84年グレード制導入後に免許を取得した騎手では、過去5人が達成。菊沢隆仁がチェリーコウマンで92年ウインターS(G3)を、武幸四郎がオースミタイクーンで97年マイラーズC(G2)を、池添謙一がトウショウオリオンで98年北九州記念(G3)を、宮崎北斗がセラフィックロンプで08年愛知杯(G3)を、今村聖奈がテイエムスパーダで22年CBC賞(G3)を制している。

◆吉村誠之助(よしむら・せいのすけ)2006年(平18)1月4日、兵庫県生まれ。父は兵庫所属の吉村智洋騎手。栗東・清水久厩舎から今年3月2日小倉2Rでデビュー(ムーンセットで9着)、同24日六甲Sのボルザコフスキーで初勝利。JRA通算57戦2勝。尊敬するジョッキーは松山騎手。162・7センチ、48キロ。