いよいよ日曜に第92回日本ダービー(G1、芝2400メートル、6月1日=東京)が行われる。連載「いざ初ダービー」では、初めてダービーの大舞台に挑むホースマンを取り上げる。
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開業2年目の藤野健太調教師(47)が、感謝の“師弟対決”に挑む。昨年3月の初出走からわずか1年あまり。重賞2着2回のドラゴンブースト(牡)を夢舞台へ送り出す。「感謝です。出走させるだけで難しい特別なレース。いい馬を預からせていただきました」と口元を引き締める。
皐月賞馬ミュージアムマイルを擁する高柳大師とは、深い縁がある。同じ北海道の出身で同学年。トレセン入り前にはノーザンファームで一緒に汗を流した。19年からはすでに開業していた高柳大厩舎で調教助手を務めた。
「牧場時代から20年以上のつき合い。拾ってもらった恩があります。調教師試験にも導いてくれて勉強の仕方も教えてくれました」
9度目の挑戦を実らせ、昨年に待望の開業を迎えた。「高柳厩舎の流れでご依頼を受けました」というドラゴンブーストは、厩舎にとって初めてのG1やクラシックへ駒を進めた。決して無理はさせていない。京成杯2着で賞金加算に成功すると、前走まで3カ月の休養を挟んだ。「これからが楽しみな馬なので」と将来を考えてのことだ。
前走の皐月賞では、思わぬめぐり合わせもあった。隣のゲートに入ったのがミュージアムマイル。ともに歩んできた長い道のりを思い出し、胸が熱くなった。
「お互いに調教師になってクラシックに出て、枠も隣なんて…。『こんなこと、あるんだな』と感慨深かったです」
もちろん、レースになれば師匠も弟子も関係ない。
「向こうは皐月賞馬ですけど、恥ずかしくない仕事をして送り出したい」
厩舎のシンボルカラーは炎のようなクリムゾン。心にあふれる謝意を形にすべく、目の前の愛馬に情熱を燃やす。【太田尚樹】

