凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月4日=パリロンシャン)でメイショウタバル(牡5、石橋)が日本馬の悲願に挑む。連載「凱旋門賞ストーリーズ」3回目は、タバルの生まれ故郷・三嶋牧場。三嶋健一郎取締役に凱旋門賞挑戦までのストーリーを聞いた。【取材・構成=下村琴葉】

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戦前より馬の生産を行っている三嶋牧場の長い歴史において、メイショウタバルの存在は非常に大きい。生産馬は89年に初めて重賞に挑戦し、初制覇を遂げたのは09年京都牝馬Sのチェレブリタ。三嶋取締役は長いトンネルを振り返る。

「重賞に出るのもなかった。オープン馬も何年もいなかった。20年経ってからの重賞勝ちだったので。凱旋門賞なんて全く考えられなかった」

21年安田記念で生産馬のダノンキングリーがG1初制覇を遂げると、ファストフォース、テーオーロイヤルが続いた。そして、25年にタバルが宝塚記念を優勝し、今年は連覇。雨中のグランプリは三嶋専務にとっても驚きの一戦だった。

「クロワデュノールも人気でしたし、前走(大阪杯)も差されて負けていたので、少しでも抵抗できたらなと思っていた。雨も降ってね。あんなに降るとは思っていなかったからびっくりした。夢のようでしたね」。レース後には関係者からコチョウランが100鉢ほど届いたという。

意図を変えた配合だった。母メイショウツバクロにゴールドシップをつけたのはタバルが初めて。「少しコロッと詰まった、お母さんの体形に似ている子が多かった。ゆったりした馬ができればと思ってゴールドシップをつけて、出てきたらカチッとした馬だった。いい馬ができたね、と牧場では話していたけど、G1馬になるとは…」。ステイゴールドの血統らしさを持ちながら、いい成長曲線を描いていった。

浦河を揺るがしたグランプリ連覇から3カ月半、次に待つのはフランスの凱旋門賞。「いい形で(宝塚記念を)勝って、凱旋門賞に行けるのが信じられない。メイショウさんで、石橋厩舎で、(武)豊さんで。信じられないことが起きている」。夢舞台まであと数日だ。

「馬に恵まれている。こういう馬になってくれて感謝。社台グループだと毎年のように(凱旋門賞に)チャレンジしているので、個人のオーナーがリスクを負って行こうかというのはなかなか少ないからね。やっぱり松本オーナーの決断もすごいと思う。いい結果を残して、無事にいってほしいですね」

明治時代から続く日本競馬界の「馬産のふるさと」、「日高」の馬で挑む日本馬未達の地。歴史を変えるドラマが待っているかもしれない。(つづく)