昨年6月以来、約8カ月ぶりのブルベは極寒のライドだった。2月18日、メディア戦略本部石井政己(59)が青葉ブルベ笹子200に参戦。雪の残る道志みちは氷点下3〜4度の表示。冷え切った空気に指先はかじかんで痛みも感じるようになり、折り返しの笹子では鼻水が止まらなかった。ようやく甲州街道で日が差すようになり、気温も大月で3度、さらにその先では6度まで上昇。追い風もあって快適なライドとなったが、青葉ブルベは甘くない。「青葉らしく」坂続きのコースに今回も参らされた。


雪が残る山梨・道坂トンネル手前
雪が残る山梨・道坂トンネル手前

 稲城・大丸公園をスタートし、道志みちから道坂峠を越え、95キロ地点の笹子トンネル手前で折り返し。帰路は甲州街道を入り、上野原を左折して甲武トンネルを越え、五日市から青梅を回って帰ってくる204キロのコース。笹子での通過証明は笹子駅切符、笹一酒造のレシート、笹子餅の工場売店でお店の名前入りのハンコいずれか1つというもので、2年前に参加したときは笹子餅を買った。さっぱりして美味しかったので、今回も餅を買うことにした。今シーズンからサドルバックは10リットルの「コントアーマックス スポーツ」に変えた。これまでの6リットルの「コントアーマグナム」から容量がアップし、ウインドブレーカー、輪行袋を入れても餅を入れる余裕はたっぷりある。


スタート前の大丸公園
スタート前の大丸公園

 気温が低くなることが予想されたので、ウエアは悩んだ末、インナーは2枚、下はウインドブレークタイツ、上は気温5度仕様のウインドブレークジャケット。これにモンベルの超軽量ウインドブレーカーを羽織る。これで道坂峠まで上り、そこからの長い下りは厚手のウインドブレーカーを着てしのぎ、その後は気温によって調整していく作戦にした。結果的に言えば、道坂峠、甲州街道の下りは晴れだったこともありちょうどいい感じだったが、甲武トンネルの上りも厚手のウインドブレーカーを脱ぐのが面倒なのでそのまま上ったせいか、途中からは暑くてたまらなかった。


青葉ブルベ笹子200のコース
青葉ブルベ笹子200のコース

 スタート地点の大丸公園には午前5時20分ごろに到着。気温は0度前後か。手がかじかんで出走サインがまともに書けない。凍えそうな寒さだ。


 やがてブリーフィング、車検と続き、出発。車検の後にトイレに行ったので、スタートは午前6時ちょうどとなった。


 スタート直後の連光寺坂で珍しく抜かれず、新小倉橋の先から始まるこう配5%の坂もトレインについていくことができ、何となく好調な感じ。ただ、気温はこの時点で氷点下3度。冷えたせいでトイレへ行きたいのだが、足の合うトレイン後方にくっついて楽ができているので、じっと我慢。


 国道412号から関交差点を左折して宮ケ瀬方面へ向かうと、路肩には雪。峠は大丈夫かと不安が走る。


 35・1キロ地点のPC1「 ファミリーマート津久井宮ケ瀬店」には午前8時ちょうどの到着。貯金は45分とまずまずだが、2年前よりは19分遅い。


 最初のPCとあってブルベライダーで混雑しておりトイレも行列ができていたので、トマトジュースだけ補給して速攻でリスタートした。鳥屋郵便局を左折し、小さな峠を越えて道志みちに出ると、路肩には雪が残っていた。天気はいいのだがやや向かい風。これは帰りを考えるとありがたいが、気温は氷点下4度と表示されているところがあり、当然ながら寒さは厳しくなっている。


道志みちの青根付近
道志みちの青根付近

 トイレであてにしていたサークルKは工事現場と化しており、かなりショックを受けた。頑張って少し先にあるセブンイレブンまでなんとかもたせた(^_^;


 道志みちはほぼひとり旅。黙々と走ったが、驚くべきことに先行するブルベライダーを抜くことができた。それも複数。これまでは抜かれることは山ほどあるが、抜くなんてことは平地ならあるが上りではほぼなかった。やっぱり調子いいのかな。


 四里塚の先が道坂峠への分岐。ここからは富士山が垣間見えた。


道志みちの四里塚。左奥に富士山が垣間見える
道志みちの四里塚。左奥に富士山が垣間見える

 道坂峠は標高約1080メートル。1100メートルの山伏峠とほぼ同じなのだが、分岐から道坂峠への距離は約5・5キロ。山伏峠は約10キロで、距離が短い分、道坂峠の方が傾斜がきつい。前回もヘロヘロで上ったなぁと思いながら、今回も歩くようなスピードでよろよろと上っていく。しかし、今回は前回より楽に上れている気がして、ピークへも思ったより早く到着したと思ったのだが、後でデータを確認するとともに登坂にかかった時間は35分台と変わらなかった。この年で脚力がアップするわけもないか…。


山梨・道坂トンネル
山梨・道坂トンネル
道坂トンネルから振り返って撮影。ここは道志村と都留市の境界
道坂トンネルから振り返って撮影。ここは道志村と都留市の境界

 ここで厚手のウインドブレーカーを着込み、ダウンヒル開始。道坂トンネル手前は雪に覆われていたが、トンネルを出ると日当たりが良いせいか、雪はほとんどなかった。ただ、路面は凍結し、融雪剤もまかれているため慎重に下る。もっとも、スピードを出すと寒いのでゆっくり下りるしかないのだが。


 下りは12キロ。日差しが降り注いでいるせいか、「寒い!」という感じではなかったが、またトイレに行きたくなり、PC2の手前のセブンイレブンでストップした。


 下り終わった後は田舎らしい風景の中を南アルプスに向かって走る気持ちのいい、ブルベらしい道が続くのだが、あいにくの向かい風で写真を撮る気にもならず、歯を食いしばって「ヤマザキショップ」へ向かう。


 85・5キロ地点のPC2の「ヤマザキショップ桂屋酒店」には午前11時18分にたどり着いた。寒さで手が痛いほどかじかんできたので、暖かい缶コーヒーを握りしめて暖を取り、ハムカツサンドをぱくつく。ふと時計を見ると午前11時24分。あれ? もしかして貯金がこの時点で20分しかない? 後で調べると、前回より27分遅かった。まさかここでピンチになるとは思わなかった。PC以外の2カ所でストップし、写真もiPhoneで撮影しているため、いちいちストップして手袋を脱ぐ手間があり時間がかかっているせいなのだろうか。いずれにせよ、どこかでラーメンでも食べて暖まるという時間は取れそうもない。慌てて準備してリスタートした。


 折り返してすぐのところを左折。ひと山越えて甲州街道へと下って行く。青葉ブルベらしい、余計なアップダウンだ。


 甲州街道へ出て左折。相変わらずの向かい風の中、笹子を目指す。折り返してくるブルベライダーは追い風に乗って気持ち良さそうだ。緩やかな上りから終盤はこう配7%の坂を上り、今回は迷いなく95・9キロ地点の笹子餅の工場売店へ。前回は場所が分からず、笹一酒造や売店の前でウロウロしてしまった。工場は笹子駅手前の左手にある。


笹子餅本補のみどりや
笹子餅本補のみどりや
笹子駅方面。雲1つない晴天だ
笹子駅方面。雲1つない晴天だ

 笹子餅は5個入りが410円。10個入りが820円。ちょうど翌日に孫娘が遊びに来ることになっていたので、自分の補給食と合わせ5個入りを2つゲット。「1つは孫娘に」と言って買うと、「あら、若いおじいちゃんですね」。う〜ん、喜んでいいのかどうか、複雑…。


 孫娘はまだ2歳。よく考えると餅はまだ無理で、結局、5個は自分でその日のうちに食べ、翌日にたまたま実家に寄った長女が3個、孫娘の母親の次女と自分で1個ずつ食べた。いくつでも食べられるおいしさだが、頻繁に買いに行ける距離じゃないね。


 餅を買っている間、鼻水が止まらなくてまいった、というか恥ずかしかった。その後、走っている時も止まらず、呼吸するのも苦しかった。


笹子餅をゲット
笹子餅をゲット

 さあ、いよいよ待ってましたの追い風の天国の下り。天気も雲1つない晴れ。寒さも忘れて豪快にぶっ飛ばす。ここで挽回だ。気温は大月あたりで3度。春を感じる暖かさで、その先にあった6度表示が最高だったように思う。いや〜、上った甲斐があったよ。


 前回は向かい風だった区間を、今回は追い風に乗って気持ちよく走っていたが、梁川付近からはなぜか風向きが変わり、向かい風となった。幸せは長く続かない運命なのだ。まあ、コースが地獄の県道30号で野田尻経由でなかったことをよしとしよう。


 甲州街道から甲武トンネルへと左折する上野原市役所前交差点のセブンイレブンに寄ろうかと思ったが、特に必要を感じず明るいうちに帰りたかったのでスルーし、そのまま上り区間へ入った。しばらくして空腹を感じたので、補給食として持ってきていたソイジョイを乗ったまま食べてしのいだ。


 甲武トンネルへの上りはきつかった。いつもきついのだが、この日は久々に上りが続いたせいか、特に足が回らなかった。11速化を真剣に考えた。まあ、下りに入った途端にそんなことは忘れるのだが…。


 この日は気温が低すぎたせいか、サイコンがおかしかった。時速が90キロとか無茶苦茶な表示となり、正確な距離がまったく分からない。甲武トンネルへの上りも6〜7キロぐらいかな(実際は交差点を曲がってから10・5キロ。きついのは残り3・5キロ)と思っていたのだが、とっくにその距離を過ぎて10キロ以上になっているのにピークに着かずかなり凹んだ。


 歩くようなスピードで最後の延々と続く滑り止めが刻まれた区間を這うように上り、やっとのことでトンネルの雰囲気を感じた時は思い切り歓声を上げた。


甲武トンネルの山梨側
甲武トンネルの山梨側
甲武トンネルの東京側
甲武トンネルの東京側

 ヘロヘロになって約140キロ地点、標高約650メートルの甲武トンネルに到着。ここにも周辺には雪が残っていた。


 ここからゴールまでは下り基調なのだが、青葉ブルベは甘くない。気持ちよく下った武蔵五日市駅の先にちゃんと小さな峠「二ツ塚峠」を用意してくれている。1・6キロほどだが意外ときつい。


 青梅マラソン開催のため、青梅付近は当初から変更されたルートを走り、173・1キロ地点のPC3「 ファミリーマート岩蔵街道店」には午後4時5分に到着。貯金は1時間31分だが、前回よりは39分遅い。


 笹子付近で何人かのブルベライダーを見たが、甲州街道の初狩小学校東交差点からの約80キロはひとり旅。このPC直前で先行するライダーに追いつき、引いて貰う形でPCへ向かった。PCには数人のライダーがいた。


 ここから204キロ地点のゴールの大丸公園までは岩蔵街道、青梅街道、府中街道、川崎街道と町中を走る。信号も多く、バスも走っているのでそんなには差が付かない。3人のトレインで走っていたのだが、それでも信号で千切れるなどで結局、単独走となった。しかし、岩蔵街道から青梅街道に左折する交差点が、キューシートではT字路となっていたが実際は十字路。突き当たりを目指していたので当然ミスコース。幸い、逆走してきたブルベライダーがいたので救われた。同じようにミスコースした後続のライダーと再び3人でトレインを組み、最後方で楽をしていたのだが、やがてばらけて再び単独走。最後の新大丸交差点の信号待ちで前のトレインに追いつき、4人でゴールした。


ゴールの大丸公園
ゴールの大丸公園
ゴール後の筆者
ゴール後の筆者

 明るいうちには帰れず、ゴールは午後5時49分。所要時間は11時間49分で、グロス時速は17・3キロ。何とか6時までにはゴールしたいと思っていたので、最後は結構頑張った。それでも前回よりは42分遅い。正確に言うと、前回は午前6時前のフライングスタートだったので、GPSのログによると、グロスで29分の遅れとなる。ただし、実際の走行時間は前回が9時間52分、今回が9時間56分と4分しか違わない。やはり2度の余計なトイレストップが響いたようだ。今年10月で還暦となるが、2年前と比べて力は落ちてないかなとひと安心した、今季最初のブルベだった(^o^) 【メディア戦略本部 石井政己】