10月は一年の中でも特に過ごしやすい気候。吹く風は気持ちよく、食べ物もおいしい。まさに、キャンプツーリングのベストシーズン。ということでE-Bikeにテントを積んで出かけることにした。”祝”初キャンプツーリング。ただあまり遠い場所だと、キャンプ場に着いたときは夜に… なんて事態になりかねないので、近場。自宅のある神奈川県相模原市から約70キロ、奥多摩へ行くことにした。


東京都の西の果て、奥多摩には「ここが本当に東京都?」と思うほど自然がたっぷり残っている。観光スポットとしては奥多摩湖や日原鍾乳洞、御岳山などが有名で、休日になると首都圏に住むバイカー、ハイカー、キャンパーなどがドドッと訪れる、人気エリア。


奥多摩にはキャンプ場がいくつかあり、僕も4年前のオートバイツーリングで「川井キャンプ場」に宿泊。広い河原のサイトで眺めも良かったが、できれば今回は違うキャンプ場に泊ってみたい。地図を確認すると多摩川の上流、奥多摩駅の近くに「氷川キャンプ場」という名前のキャンプ場があった。河原にあり周りの環境も良さそう、料金も1泊1500円と高くない。距離的にはベストなので、氷川キャンプ場に決定! 出発は翌日、平日なので予約はしなくて大丈夫だろうと思い、ベッドに入った。


ヤマハYPJ-TCにまたがり走り出す。自宅を出てからしばらくは市街地、アシストをフルに使って先を急ぐ。八王子市を越え。あきる野市に入ると徐々に交通量も減り、走りやすくなってくる。武蔵五日市駅の駅前のコンビニでひとやすみ。人も少なく、のどかな時間が流れる午前10時。天気もいいし、体調もいい。


五日市駅前で見つけたバス型の自動販売機
五日市駅前で見つけたバス型の自動販売機

ヤマハYPJ-TCはリヤキャリアが標準装備、キャンプ装備も余裕で積める
ヤマハYPJ-TCはリヤキャリアが標準装備、キャンプ装備も余裕で積める

多摩川を越えて青梅市に入った。青梅はどこか懐かしさを感じさせる町で、少し前までは昭和のまちの演出として、手書きの映画館看板が、旧青梅街道沿いのあちこちに飾られていた。「荒野の決闘」「シェーン」「君の名は」「夕陽のガンマン」などなど。手描きの看板のレトロな雰囲気が好きで、青梅を訪れる度に写真に撮っていた。しかし3年前、映画看板師さんが亡くなられ、さらに台風の影響で看板が壊れたことをきっかけに、撤去されてしまった。町の象徴がなくなった青梅の町を寂しい気持ちで眺めた。


2016年に訪れたときは、こんな風に青梅のあちこちに映画館看板があった
2016年に訪れたときは、こんな風に青梅のあちこちに映画館看板があった

青梅は面白いものがあちこちにある
青梅は面白いものがあちこちにある

青梅街道、国道411号を西へとE-Bikeを走らせる。道に並行して山側はJR青梅線が延び、谷側は多摩川が続いている。橋の上から谷底を流れる川を眺めていると、遠くからラフティングのゴムボートが流れてくるのが見えた。少しずつ近づいてくると、楽しそうな歓声が橋の上まで聞こえてきた。大きな青空の下で、水しぶきを上げながらラフティング、気持ち良さそうだなぁ。


家から50キロ、12時も過ぎたし、お腹が空いてきた。奥多摩と言えば釜めしが有名だが、正直なところそれよりも胃袋はラーメンを求めていた。スマホで検索すると運よく御岳山の登山客ご用達のラーメン屋を見つけた。国道411号沿い、御嶽駅前の自家製手打ち麺の中華料理屋「東峯園」に入る。


外観は少し古そうだが、店内は最近改装したのかとてもきれい。肉と野菜、しめじが乗ったおすすめの「みたけラーメン」と餃子を注文する。運ばれてきたラーメンに箸を付けると、スープはあっさり醤油味。町の中華屋なので、勝手に濃い味を想像していたが、いい意味で裏切られた。心筋梗塞をしてから塩分控えめにしている僕にはちょうどいい味付けだった。餃子もジューシーでおいしい。メニューとしては旅というよりビジネスマンの昼メシだが、食べたいものを食べる。これに勝るものはないのだ。


橋の上から多摩川を眺める
橋の上から多摩川を眺める

本日の昼ごはんはみたけラーメンと餃子
本日の昼ごはんはみたけラーメンと餃子

大きくなったお腹を抱え、再びE-Bikeにまたがった。ここまで来たら、奥多摩は目と鼻の先。少し手前にあるミタケテラスへ戻り、パラソルの下で食後のカフェタイムにした。「東京の茶工房」の茶葉を使って作った抹茶ラテを飲みながら、国道を走り抜けて行く車やバイクを眺めていると、ちょっとリッチな気分になった。


午後3時、氷川キャンプ場に到着。受付へ行くと、予約はしていないが、問題なくテント泊できるという。良かった~。早速、手続きをする。ここまで69キロを走って、バッテリーの残量は24%。荷物が重いせいか予想より早く減っている。交換バッテリーを1本持って来ているが、明日の方が距離があり、さらに峠越えもあるので少し心配。電力はどれだけあっても困らないので、受付の人に事情を話すと、快く充電を引き受けてくれた。ありがたい。これでひと安心だ。


急斜面を下って行くと、砂利敷の河原が広がっていた。河原全体がテントサイトになっていて、すでにテントが30~40張り。平日だというのに大盛況だ。やや奥の平地にテントを設営する。シンプルな作りなので10分くらいでできた。荷物を全部テントに入れて、チェアとテーブルを広げると、狭いながらも楽しい我が家が完成した。腰を下ろすと目の前には川と緑の山、見上げれば青い空。気分はサイコー!


氷川キャンプ場
氷川キャンプ場

テントを張り終えひと段落
テントを張り終えひと段落

テントを張ったら行こうと思っていた日帰り温泉は、残念ながら今日は定休日。ガーン。面倒くさいので今日は風呂なしにする。テントの中の整理が終わると、夕食に取り掛かる。今回は凝った料理はなし。コッヘルに水を入れ、カセットガスのコンロでレトルトカレーとパックごはんを温める。ほかのテントからもゆらゆら上がる煙を眺めながら、15分ほど待つと、パックごはんがいい感じで温まった。いただきま~す! まったく特別な料理ではないけれど、おいしい。これが噂のキャンプマジックというやつか?(笑) 


ごはんが終わり片づけ、日が暮れると何もすることがなくなった。家にいたらPCを開いて仕事の続きをしたり、テレビや映画を観たり、ネットをしたり… ズルズルと深夜まで起きているのだが、暗いテントの中ではスマホをいじることくらい。それも長くは続かず、疲れていたのか、あっという間に夢の中へ…【藤原かんいち】


キャンプならレトルトカレーがごちそうになる(笑)
キャンプならレトルトカレーがごちそうになる(笑)

それぞれの夜がゆっくり過ぎて行く
それぞれの夜がゆっくり過ぎて行く

◆ルートマップ