30日間で3700キロをE-Bike(YAMAHA WABASH-RT)で走り切り、佐多岬~宗谷岬の日本縦断を果たした、旅行家藤原かんいち。前例のないE-Bikeによるチャレンジ。運動不足の61歳の中年男にできるのか!? 一体どんな旅だったのか!? 激動の30日間を旅日記で振り返ります。


東北の旅も後半、ステージ14『八幡平アスピーテライン』を行く。久しぶりの青空にテンションが上がる
東北の旅も後半、ステージ14『八幡平アスピーテライン』を行く。久しぶりの青空にテンションが上がる

 Day26 2022/06/10

盛岡の朝。目を覚まして窓を見ると地面が濡れている。またしても雨。それにしても東北に入ってからというもの、天気に嫌われまくっている。今日は待望の『八幡平アスピーテライン』を走る日だというのにトホホホ… 雨具を着こんで外に出る。

盛岡に住む尊敬する友人斎藤さんが応援を兼ねて一緒に朝ごはんを食べようとメッセージをくれたので、待ち合わせ場所の牛丼屋へ向かった。斎藤さんもE-Bikeを持っているので昨日は「一緒に八幡平を走ろう」と盛り上がっていたのだが、今日は朝から雨ということで、E-Bikeでの同行は中止になった。

4年前に、斎藤さんが館長をしている『石神の丘美術館』で僕が世界一周の旅の写真展を開催。直接会うのはそれ以来となる。E-Bikeや旅の話をしながら「今日は残念だね、まあ俺、雨男だからなぁ」と誰もが認める雨男の斎藤さんが明るく笑った。


盛岡のホテルを出る朝も雨だった
盛岡のホテルを出る朝も雨だった
尊敬する盛岡の友人、斎藤さんが励ましに来てくれた
尊敬する盛岡の友人、斎藤さんが励ましに来てくれた

盛岡を離れると雨は徐々に小降りになった。1時間もすると雲で見えなかった岩手山が姿を見せるまで回復した。八幡平市で国道282号を離れて県道23号へ、住宅地から田舎道に景色が変わってゆく。松尾八幡平ビジターセンターを過ぎると、いよいよ本格的な山道が始まる。

カーブが連続、道は少しづつ標高を上げるに連れて空を覆っていた雲はどんどん切れて行き、嘘のような青空が広がった。いま走っている『八幡平アスピーテライン』は岩手県と秋田県をまたがる、全長27kmの山岳ドライブコース。美しい山並み、森林、池沼などが見られる東北屈指の絶景道として知られている。

八幡平アスピーテライン展望所、源太岩展望台… 展望地に着くたびにeバイクのペダルを休めて、ゆっくりと絶景を眺めた。ここ数日間ずっと悪天候、美しい大自然の中を走ることも少なかった。久しぶりの青空と大自然の風景を見ているだけで、エネルギーが湧いてくる。ペダルをこぐのが楽しくて仕方がない、さらに電動アシストのお陰もあって、予定より早く見返峠(標高1541m)に到着した

レストハウスや公衆トイレなどがある見返峠は、岩手と秋田の県境。ここは八幡平山への登山や周辺ハイキングの起点となっているため、大型駐車場はたくさんのハイカーでにぎわっていた。標高が高いので風が冷たいが、体が温まっているので気持ちよく感じる。秋田側を走り始めると最初に現れるのが大深沢展望台。周辺に高い木がないので見晴らしがとてもいい。その後、道は下り坂が多くなり、あっという間に『八幡平アスピーテライン』を走り切ってしまった。


徐々に雲がなくなり、ついに岩手山が姿を現した
徐々に雲がなくなり、ついに岩手山が姿を現した
こんな看板が道に現れるとドキッとする
こんな看板が道に現れるとドキッとする
絶景が広がる『八幡平アスピーテライン』。峠道を調子よくグイグイ登ってゆく
絶景が広がる『八幡平アスピーテライン』。峠道を調子よくグイグイ登ってゆく
あっという間に岩手と秋田の県境、見返峠に到着した
あっという間に岩手と秋田の県境、見返峠に到着した

国道341号を北へ向かう。朝は今日の宿泊地は鹿角市辺りかなと思っていたが、鹿角市内にある『道の駅かづのあんとらあ』に着いたのが午後4時半。まだまだ日が高い。ここから十和田湖まで40km近くあるけど、頑張って走れば行けるかも!? 今日は気分がノリノリなので、先へ進むことにした。その後も1500m級の峠を越えたとは思えないスピードで進んで行った。

毛馬内から国道103号へ。ひたすら十和田湖を目指してペダルをこいぐ。市街地から田園地帯を抜けると、再び木々に囲まれた山道が始まった。十和田湖は日本有数のカルデラ湖。外輪山にある発荷峠(標高631m)まで、ひたすら上り坂が続くが、完全に『人間HIGHモード』に入っている僕は、目をキラキラ輝かせながらペダルをこいだ。6時ジャスト、峠にある展望休憩所に到着。E-BIKEを降りて展望台に登ると美しい十和田湖が見えた。自分でも驚くほどハイペースだ。

夕刻に着いた『十和田湖ホステル』はひと味変わった宿だった。古い旅館の建物をホステルとして利用。現在はコロナ禍の影響やオーナーの事情があって、テレワークでチェックイン。支払いは事前のカード決済、QRコードキャッシュレス決済などで対応していた。荷物を降ろすと館内を探検、共用キッチンがあり冷蔵庫の中には朝食用のパンや牛乳、マーガリンなどあり、無料で食べられるようになっていた。なんとも良心的な宿だった。

今日は久しぶりに140km以上走ったので、疲れているが気持ちはとても充実していた。8時過ぎ、近くにある温泉旅館の大浴場へ行き、久しぶりに温泉を堪能した。お湯に体を鎮めると、とろけそうなほど気持ちがよかった。おかげで疲れた体をリフレッシュすることができた。明日の夜には青森の八戸からフェリーに乗って、北海道へ渡る予定。遥か彼方にあったゴールが、いよいよ見えてきた。


日が沈む前に十和田湖に着いた。白鳥ボートが迎えてくれた
日が沈む前に十和田湖に着いた。白鳥ボートが迎えてくれた
良心的な値段で泊まれる、十和田ホステル
良心的な値段で泊まれる、十和田ホステル
日本縦断の相棒、ヤマハWABASH-RTの走行距離も、26日目で3000kmを越えた
日本縦断の相棒、ヤマハWABASH-RTの走行距離も、26日目で3000kmを越えた

■日付:2022年06月10日

■走行距離:141.2km

■ここまでの総走行距離:3,066km

■ルート