30日間で3700キロをE-Bike(YAMAHA WABASH-RT)で走り切り、佐多岬~宗谷岬の日本縦断を果たした、旅行家藤原かんいち。前例のないE-Bikeによるチャレンジ。運動不足の61歳の中年男にできるのか!? 一体どんな旅だったのか!? 激動の30日間を旅日記で振り返ります。


奥入瀬渓谷を眺めながら天ぷらうどん。自然の中で食べるとおいしく感じる
奥入瀬渓谷を眺めながら天ぷらうどん。自然の中で食べるとおいしく感じる

 Day27 2022/06/11

十和田湖の朝を迎えた。さあ、今日が本州最後の日だ。荷造りを終えるとホステルを後にした。路地を抜けて湖畔に出ると、目の前に幻想的な光景が広がった。湖の上に濃い霧が低く立ち込めているが、その上には抜けるような青空が広がっている。とてもこの世の景色とは思えない美しさ、大自然がつくり出す景色には際限がない。

今日は22時八戸発の苫小牧行きフェリーに乗る予定。距離的には八戸まで90km程度なので、時間的にも気分的にもかなり余裕がある。十和田湖を眺めながら湖畔の道をゆっくりE-Bikeを走らせる。森を抜けると二人の裸形が向かい合う、大きなロンズ像が見えてきた。十和田湖のシンボル、詩人であり彫刻家でもあった高村光太郎の傑作として知られている『乙女の像』だ。

今日の景色の中で『乙女の像』を見るとさらに特別に感じる。このあと、十和田湖を離れようと思っていたのだが、あまりに湖が美しいので、もう少しこの周辺を散策しよう思い十和田湖ビジターセンターへ引き返した。御前ケ浜や公園の中を歩いたり、湖をバックに写真を撮影したり、十和田湖の時間を心行くまで堪能した。その後、瞰湖台へ登り高台から湖を眺めると、次の目的地、奥入瀬渓流へ向かった。


朝起きて湖へ行くと、信じられない絶景が待ち受けていた
朝起きて湖へ行くと、信じられない絶景が待ち受けていた
十和田湖のシンボル『乙女の像』は詩人であり彫刻家でもある高村光太郎の傑作
十和田湖のシンボル『乙女の像』は詩人であり彫刻家でもある高村光太郎の傑作
こんな景色は二度と見られないと思い、しばらく湖畔を走り回った
こんな景色は二度と見られないと思い、しばらく湖畔を走り回った
高台にある『瞰湖台』の展望台から十和田湖の全容を眺めた
高台にある『瞰湖台』の展望台から十和田湖の全容を眺めた
カラフルにペイントされたシャッターに思わずペダルを止めた
カラフルにペイントされたシャッターに思わずペダルを止めた

ステージ15『十和田湖&奥入瀬渓流の道』の中心となる国道103号は山、湖、森林、渓流など自然の変化が楽しめるドライブルートとして人気がある。子ノ口港から奥入瀬川沿いの道に入って行くと、木々が鬱蒼と茂る森となり、緑のトンネルが始まる。木々の間から差し込む緑の光が気持ちいい。

時々、ペダルをこぐ脚を止め、森の中を流れる渓流や水しぶきを上げる滝を眺める。遊歩道を歩く人たちの楽しそうな笑声が森に響き渡る。さらにしばらく走ると、たくさんの車が並ぶ『石ヶ戸休憩所』に着いた。ここは渓流唯一の休憩所で、渓流散策のスタート地点にもなっている。ちなみに『石ヶ戸』とは石でできた小屋の意味で、近くにある大きな一枚岩がその名の由来と言われているる。トイレの後に売店を覗くと、外にテーブルがいくつかあり、うどんを食べる人の姿があった。その光景に刺激されたので、ここでお昼にする。出てきた天ぷらうどんは正直、どこにでもある普通の味だったが、森の新鮮な空気の中で食べると不思議とおいしく感じた。


奥入瀬渓流沿いの道に入ると景色がガラッと変わった
奥入瀬渓流沿いの道に入ると景色がガラッと変わった
『銚子大滝』。奥入瀬渓流本流にかかる随一の滝で滝幅は20mもある
『銚子大滝』。奥入瀬渓流本流にかかる随一の滝で滝幅は20mもある
美しい奥入瀬渓流を横に眺めながら、ゆっくりE-Bikeを走らせた
美しい奥入瀬渓流を横に眺めながら、ゆっくりE-Bikeを走らせた
緑のトンネル。本州最後のステージとなった『十和田湖&奥入瀬渓流の道』
緑のトンネル。本州最後のステージとなった『十和田湖&奥入瀬渓流の道』
奥入瀬渓流にある唯一の休憩施設『石ヶ戸休憩所』でひと休み
奥入瀬渓流にある唯一の休憩施設『石ヶ戸休憩所』でひと休み

緑豊かな奥入瀬渓流の景色から、徐々に民家と畑が目立つ田舎道に変わってゆく。道は緩やかな下り坂、徐々に走るペースも上がって行く。ここまで来たら、気分はすでに北海道。ひたすら八戸を目指して一心不乱にペダルをこいでいたら、4時前に八戸港に着いてしまった。さすがに早すぎる。22時のフェリーまでまだかなり時間があるので、市内のネットカフェへ移動をして原稿書きなど、たまっていた仕事を進めておく。

20時ごろ、再び八戸港フェリーターミナルへ行くと、苫小牧港行きのシルバーフェリーはすでに着岸していた。乗船手続きを済ませると、長い道のりを一緒に走ってきた平塚カメラマンのオートバイと共に乗り込んだ。明日の朝には北海道。「ついに、ここまで来たんだな…」高鳴る胸を押さえながら、ゆっくり横になった。


フェリーは夜22時発なのに、元気満点で夕方には八戸港へ到着してしまった
フェリーは夜22時発なのに、元気満点で夕方には八戸港へ到着してしまった
苫小牧行きのフェリーに乗り込む直前。このフェリーに乗れば明朝は北海道!
苫小牧行きのフェリーに乗り込む直前。このフェリーに乗れば明朝は北海道!

■日付:2022年06月11日

■走行距離:93.9km

■ここまでの総走行距離:3,160km

■ルート