今季は選手兼オーナーとして活躍する鈴木弘子選手(写真は鈴木さん提供)
今季は選手兼オーナーとして活躍する鈴木弘子選手(写真は鈴木さん提供)

日本人初のプロいまはオーナー兼任

 全米で一番人気を誇るアメリカンフットボールに女性のプロリーグがあるのをご存じですか? その女子プロアメフト界で活躍する日本人初のプロ選手がいます。名前は鈴木弘子。2000年に渡米し、フロリダ州デイトナビーチ・バラクーダスと契約。Betty(ベティ)の相性で知られる鈴木は、その後もカリフォルニア・クエイクやサンディエゴ・セージなど複数のチームを渡り歩き、今季からロサンゼルスのチーム、パシフィック・ウォリアーズの共同オーナーに就任し、選手との二足のわらじで活躍しています。

世界選手権代表にも選ばれた51歳

 数あるスポーツの中でも特に激しいスポーツのひとつとして知られるアメリカンフットボール。大柄の選手に混ざり、センターとしてチームの中心的役割を担う鈴木だが、なんと年齢は51歳。高校時代からシンクロナイズドスイミングで活躍し、短大卒業後はスポーツインストラクターを務めていました。日本でアメフトを始めたのは30歳の時。その5年後、35歳の時にアメリカのプロリーグのトライアウトに合格して日本人初のアメフト選手になったのです。2012年には強豪サンディエゴ・サージで悲願の全米チャンピオンに輝き、翌13年には女子世界選手権の米国代表にも選ばれるという快挙も成し遂げました(大会参加は断念)。これまでの実績や渡米16年で培った経験、仲間からの信頼を背に、4月9日にオーナー初戦となる今季開幕を迎えました。

4月30日に行われた試合は79対0で大勝。試合後に選手やスタッフとともに記念撮影です
4月30日に行われた試合は79対0で大勝。試合後に選手やスタッフとともに記念撮影です

パシフィック・ウォリアーズ所属

 アメフトの本場アメリカでは、1926年頃から女性のアメリカンフットボールの試合が行われるようになりましたが、プロリーグとしての活動が始まったのは1965年のこと。その後はリーグが作られては消えを繰り返し、2000年になってようやく今のリーグの基盤が作られたと言います。現在は全米規模で活動しているリーグは3つあり、パシフィック・ウォリアーズは52チームが登録する全米最大規模のウーマンズ・フットボール・アライアンスリーグ(WFA)に所属しています。2009年に創設されたパシフィック・ウォリアーズは、2010年に地区優勝を果たし、鈴木が移籍した昨季は6勝2敗で全米9位の成績を収めています。

目標はただひとつ「優勝」

 タンパク質を中心とした食事で息の長いアスリートを目指す鈴木の次なる目標はもちろんチームの優勝。今季は5月6日時点で、2勝1敗。シーズンは6月4日まで残り5試合があります。「日本人初のオーナーとして、そして選手として全米優勝する」と言う新たな目標を掲げた挑戦はまだ始まったばかり。昨年はNFL史上初の女性コーチが誕生したと言うニュースもありましたし、今後の鈴木の活躍に期待が高まっています。ロサンゼルス近郊にお越しの方はぜひスタジアムで応援してみませんか。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。写真も。なお1枚目と3枚目は鈴木さん提供)

パシフィック・ウォリアーズでプレーする鈴木さん(中央、写真は鈴木さん提供)
パシフィック・ウォリアーズでプレーする鈴木さん(中央、写真は鈴木さん提供)

チームの公式HPは、http://pacwarriorsfootball.org/