地元で人気のサイトグラスコーヒーも屋台を出店。ハンドドリップで煎れた美味しいコーヒーがいただけます
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地元の人々の食を支える宝庫

 サンフランシスコの「美味しい食」を集めた注目のグルメスポット「フェリービルディング」を前回リポートしましたが、そのフェリービルディング前で週3回、新鮮な地元のオーガニック野菜や果物が並ぶファーマーズマーケットが開催されています。

 食に対する関心が高く、オーガニック文化が根付いているサンフランシスコのファーマーズマーケットでは、野菜や果物を中心に手作りパンやジュース、ジャム、ナッツ、オリーブオイルなども並び、地元の人々の食を支える宝庫として知られています。また、土曜日にはオーガニック素材を使ったサンドイッチやハンバーガーなどB級グルメの屋台も出店。地元の人気コーヒーショップの屋台では、注文を受けてから目の前で煎りたてのコーヒーを提供するなど、レベルの高さがうかがえます。

フェリービルディング前に農家がずらりと軒を連ねて新鮮な野菜や果物を販売します
フェリービルディング前に農家がずらりと軒を連ねて新鮮な野菜や果物を販売します

土曜には出店が100超えます

 1993年から始まったフェリープラザ・ファーマーズマーケットは、土曜日が一番規模が大きく、100を超える店が並びます。りんご農家が作るアップルジュースやビネガー、地元のオーガニック野菜やフルーツを使ったドレッシングやシロップ、ドライフルーツ、ピクルス、オーガニックハーブティー、手作りグラノーラ、ハチミツなど、とにかく豊富な食材が並びます。近隣の農家で収穫された新鮮な食材や加工品を生産者が自ら直接販売していることから、安心して買うことできるのが特徴。卵を売る農家では、鶏がどのような環境で飼育されているのか写真で紹介するなど食の安全への取り組みも盛んに行われており、生産者と消費者を直接つなぐ場としても大きな役割を果たしています。

地産地消が根付く地

 サンフランシスコのファーマーズマーケットのレベルが他の地域と比べても高い理由のひとつに、その地域で作られた新鮮な食材をそこで食べるという地産地消を中心とした取り組み「スローフード」の考え方が定着していることがあります。その土地の伝統的な食文化や食材を見直すスローフードという考えはイタリアが発祥で、ファーストフードに対抗するために唱えられたものだと言われています。

 サンフランシスコで地産地消が根付いているのは、アメリカのスローフードの第一人者として知られる人気レストラン「シェパニーズ」のオーナーシェフ、アリス・ウォータースさんの影響が大きいと言われています。

秋にはマツタケやポルチーニなど高級なキノコも安値で並びます
秋にはマツタケやポルチーニなど高級なキノコも安値で並びます

「食事を大切に人生を豊かに暮らす」

 サンフランシスコ北部バークレーにあるシェパニーズは、地元で採れた旬のオーガニック食材のみを使った料理を提供するレストランで、予約がもっとも取れないレストランのひとつとして知られています。ウォータースさんは「食事を大切に、人生を豊かに暮らす」という考え方を提唱しており、健康的な食事の大切さを子供に教える食育活動にも熱心に取り組んでいます。「旬のものを食べましょう」「ファーマーズマーケットで買い物しましょう」「環境に配慮した方法で作られたものを食べましょう」というウォータースさんの考えが浸透し、多くの人がスローフードを生活に取り入れていることが実感できます。

 サンフランシスコならではの食文化を垣間見ることができるファーマーズマーケットは、観光客でも気軽に立ち寄り、食べ歩きできる楽しいグルメスポットですよ。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。写真も)