NBAレイカーズとクリッパーズの本拠地ステープルズ・センターも、2028年五輪ではバスケットボールなどの競技会場になる予定
NBAレイカーズとクリッパーズの本拠地ステープルズ・センターも、2028年五輪ではバスケットボールなどの競技会場になる予定

 東京五輪まであと3年を切りましたが、ここロサンゼルス(LA)でも2028年に夏季オリンピックが開催されることが正式に決まりました。「Game of the XXXIV Olympiad」と題されたロサンゼルス五輪は、1932年と1984年に続く3度目、44年ぶりの開催となります。早くもボランティアの申請がはじまり、各競技のスタジアムの割り振りなども行われるなど、巷では少しずつ盛り上がりを見せていますが、LAの人たちにとって最大の懸念は全米最悪と言われる渋滞問題。ただでさえ普段からひどい渋滞に悩まされているため、今から大会期間中の渋滞が何よりも怖いのです。市は五輪開催を視野に数年前から地下鉄や電車など公共交通機関の整備を急ピッチで行っていますが、そのインフラ整備のために渋滞がより一層ひどくなるのではと心配する声もあります。ロス五輪成功のカギを握るのは、なんといっても渋滞解消と言っても良いかもしれません。

過去2度の五輪で開会式と閉会式の会場となったロサンゼルス・メモリアル・コロシアムは、9万3000人収容可能。現在はNFLラムズの本拠地でもあります
過去2度の五輪で開会式と閉会式の会場となったロサンゼルス・メモリアル・コロシアムは、9万3000人収容可能。現在はNFLラムズの本拠地でもあります

 ところで、過去2度夏季五輪を開催しているLAには、大型スタジアムもアリーナもすでにあり、それらを活用することで新たな施設を建設する必要はないと見られています。北米4大プロリーグと言われる大リーグ、ナショナル・バスケットボール・アソシエーション(NBA)、ナショナル・ホッケーリーグ(NHL)、ナショナル・フットボールリーグ(NFL)でも、各2チームを有するLAは、既存の施設でも十分に開催が可能です。実際に前回の84年に開催された第23回大会では、32年開催の第10回大会時に建設されたロサンゼルス・メモリアル・コロシアムを再び開会式・閉会式に使うなどし、1セントも税金を使わずに黒字を出したことで知られています。今回も、開会式・閉会式は約9万3000人収容可能なメモリアル・コロシアムが有力候補と言われており、他にも94年に開催されたサッカーW杯アメリカ大会の会場となったローズボウル、NBAレイカーズとクリッパーズの本拠地ステープルズ・センター、ドジャースの本拠地ドジャースタジアムなどの既存のスタジアムや球場が会場候補にあがっています。また、南カリフォルニア大学内のプールやスポーツ施設も空手や柔道、バトミントン、競泳などの会場に使われる可能性が高く、メディアセンターも同大学のキャンパスを利用すると言われています。また、カリフォルニア大学ロサンゼルス校は選手村となる予定で、今回も将来使い道のない不要な施設の建設は一切行わない方針です。現在、ロサンゼルス空港近くに新しいスタジアムが建設中ですが、こちらは五輪のためではなく、NFLラムズとチャージャーズの本拠地として2020年の完成を目指しているもので、五輪期間中はフットボールなどの競技の他、開会式・閉会式の会場に使われる可能性もありそうです。

前田健太とダルビッシュ有が活躍するドジャースの本拠地ドジャースタジアムも、五輪では野球とソフトボールの会場になる予定
前田健太とダルビッシュ有が活躍するドジャースの本拠地ドジャースタジアムも、五輪では野球とソフトボールの会場になる予定

 ただ、広大な面積を有するLAは、スタジアムやメイン会場、ビーチバレーなどが行われる海岸エリアと選手村が離れており、各競技場間の移動に時間がかかることが予想されます。市は各競技場にアクセス可能な立地に地下鉄や電車を開通させる計画を発表していますが、果たしてそれで渋滞が解消されるのかは不透明。しかし、市は今回も交通整備に巨額の投資をしても黒字になると試算しており、五輪を機にLAの交通インフラ整備を一気に進める考えのようです。

 また、玄関口となるロサンゼルス空港もここ数年ずっと改装工事が行われており、4億ドルを使ったプロジェクトで2024年には新しい空港に生まれ変わることが決まっています。いずれにしても、これから11年後のロス五輪に向けて、LAの街並みがどんどん変わっていくことは間違いなさそうです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)