１００年前に映画の街として作られたカルバーシティは、ノスタルジックな雰囲気と最新のスタイリッシュなトレンドが入り交ざったロサンゼルス（ＬＡ）で今もっとも注目されるエリアの一つです。ベニスビーチとダウンタウンの中間にあるカルバーシティは、面積１３平方キロの小さな市ですが、ダウンタウンとサンタモニカを結ぶ電車がオープンしたことで、その中間にあるカルバーシティは近年、古い建物を活用した再開発でおしゃれな街へと変貌を遂げています。

１９３２年ロサンゼルス五輪公式パンで、月面着陸した人類発のパンでも有名なヘルムズベーカリーの跡地

　街の中心となるメイン通りにはおしゃれなレストランやバー、アートギャラリーが立ち並び、そのすぐ近くにはソニー・ピクチャーズのスタジオやカルバーホテルなど歴史を感じさせる古い建物もあり、都会ながらどことなく落ち着いた雰囲気があります。とてもコンパクトな街なので、ＬＡでは珍しく歩いて回れるのも特徴です。今回は、何度かＬＡを訪れたことのあるリピーターにもおすすめのカルバーシティの見所を紹介します。

ベーカリーは建物を再利用して現在はインテリアショップとレストランが入る複合ビルになっています。

★ヘルムズ・ベーカリー

　１９３２年ロサンゼルス五輪の公式パンで、宇宙食に採用されて月面着陸した人類初のパンとしても知られるヘルムズ・ベーカリーの工場跡地は、インテリアショップやレストランが入るおしゃれな複合施設になっています。五輪のマークがついた看板や建物の外観は当時のまま保存されており、カルバーシティのランドマーク的存在。中でも、おいしいクラフトビールとハンバーガーが食べられると人気のレストラン「ファーザーズ・オフィス」は、深夜までいつも多くの人で賑わっています。

クラシックな建物もおしゃれなバーに。いつも多くの人で賑わうファーザーズ・オフィスは地元でも人気のナイトスポット

★ユニークな博物館

　カルバーシティには２つのちょっと変わった博物館があります。「ジュラ紀技術博物館」という不思議な名前の私設博物館は、摩訶不思議なファンタジーの世界感が満載で、ヘンテコなコレクションの数々に圧倒されます。また、冷戦時代の東欧やソ連（現ロシア）の記念品や個人の収集家が集めた調度品や美術品などが展示される「ウェンデ博物館」も、他ではみられないなかなか興味深い博物館。現在は昔の古い武器庫を改装した建物に引っ越し準備中で、今秋には新たなロケーションで再オープンされる予定です。

地下鉄の駅の目の前にオープンしたスタイリッシュなモール「プラットホーム」は、おしゃれなショップとカフェやレストランが入ったＬＡの最先端を行くと話題のスポット

★プラットホーム

　地下鉄が開通したことに合わせて駅のすぐ近くにオープンしたスタイリッシュなモール。ＬＡの帽子ブランドＪａｎｅｓｓａ　ＬｅｏｎｅやサンフランシスコのシューブランドＦｒｅｄａ　Ｓａｌｖａｄｏｒなど個性的なショップ、フードトラックから火が付いたＮＹ発の人気アイスクリームショップやブルーボトルコーヒーなどの人気店、レストランやバーなどこだわりのお店が軒を連ねています。こじんまりとした屋外モール内は緑で溢れ、ゆったり座れる椅子も点在しており、都会の中のオアシスと言った雰囲気。ブラブラと散策するのにぴったりです。

中心部にはクラシカルな建物も多く、レストランやバー、ギャラリーなどとして使われています。

★ハッピーアワー

　カルバーシティのダウンタウンには、おしゃれなバーやレストランが並んでいますが、その多くが通りに面したパティオ席をもうけており、通り行く人や町並みを眺めながら食事やお酒を楽しむことができます。特に通常価格よりお得にドリンクやおつまみが楽しめる夕方から始まるハッピーアワーが、おすすめ。まだ明るい時間帯からワイングラスを片手に過ごす時間は至福です。

　夜まで多くの人で賑わっていますが、ハリウッドやＬＡのダウンタウンのような喧噪はなく、思いのほか静かでのんびり過ごせるのがカルバーシティの良さ。数多くの映画のロケ地にもなっているカルバーシティで、映画の世界を身近に感じながら過ごすのも楽しいものですよ。（米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も）