ミッション地区は若者が今もっとも住みたい地区のひとつと言われています

　サンフランシスコ（ＳＦ）で今もっともホットなエリアと言えば、ミッション地区。中心地ユニオン・スクエアの南側にあるミッション地区は、かつてはヒスパニック系を中心に貧しい人々が住むエリアでしたが、近年はシリコンバレーのＩＴ企業に勤める裕福な人たちが住むエリアへと変貌を遂げ、おしゃれなカフェやレストラン、ショップが立ち並ぶＳＦでもっとも注目されるエリアになっています。ミッション地区の魅力は何といっても、高級レストランやショップが立ち並ぶ中にも様々な人種の人たちが住んでいるので、異国情緒溢れる風景や文化を感じられること。目抜き通りバレンシア通りにはおしゃれなカフェやショップ、注目のレストランが並ぶ一方で、１本東を通るミッション通りはヒスパニック系の雑多な店が今もひしめき、通りが壁画で埋め尽くされるなどハイエンドとサブカルチャーが混沌としているのが特徴です。

多種多様な文化が入り混じるミッション地区は、ハイエンドとサブカルチャーが相まって街を作っています

通り一帯がストリートアーティストたちによる壁画で埋め尽くされたクラリオン通りは、写真撮影スポットとしても人気

　ミッションとは、スペイン語でカトリック教会の伝道所を意味しますが、その名の通り、ここにはミッション・ドロレスという１７７６年にスペインの入植者によって建てられた教会があります。１９０６年と１９８９年の２回の大震災でも倒壊を免れ、市内に現存する最も古い建物として知られています。そして、教会の近くにはサンフランシスコのダウンタウンやベイブリッジを一望できる絶景スポットとしても人気の公園「ミッション・ドロレス・パーク」があり、市民の憩いの場として親しまれています。

芝生が美しいミッション・ドロレス・パークは、犬を散歩させる人や芝生に寝転んでリラックスする人たちでいつも賑わっています

　ミッション地区はローカル料理、オーガニックスーパー、サードウェイブの人気コーヒー店などが並ぶグルメエリアとしても注目されていますが、中でもＳＦで人気ＮＯ・１のベーカリーとの呼び声も高い「タルティーン・ベーカリー」は早朝から行列ができることで有名。特に週末はブランチ目当てに長蛇の列ができることも珍しくありません。ショーケースには様々な種類の美しいペイストリーやパンが並んでいて見ているだけで楽しくなりますが、１番人気はサクサクのパイ生地に板チョコ、キャラメルソース、バナナクリーム、そしてバナナなどがのったバナナクリーム・タルト。ボリュームがありますが、甘さ控えめでおいしくいただけます。ここに続いて人気なのが、甘すぎない見た目も美しいケーキやペイストリーが人気のカフェ「クラフトマン・アンド・ウォルブス」。ショーケースには芸術品のようなケーキが並んでいますが、１番の人気はナイフを入れると黄身が中からトロリと出てくる見た目にもインパクト大の卵が丸ごと１個入ったエッグマフィンです。

落ち着いた雰囲気のクラフトマン・アンド・ウォルブスの店内。カフェでパソコンを開いて仕事をしながら朝食やブレイクをするのがＳＦの人たちのライフスタイルとして定着しています

　甘い物好きならＳＦで１番おいしいと言われるカカオの産地からこだわって作るビーン・トゥ・バーのチョコレート専門店「ダンデライオン」も外せません。自動車修理工場跡地を改装してファクトリー兼カフェとして２０１２年にオープンしたダンデライオンは、一歩店内に足を踏み入れるとチョコレートの甘い香りが漂い、こだわりのチョコレートバーを食べ比べられる試食もあります。もちろん、こだわりのチョコレートを使ったスイーツやチョコレートドリンクも外せません。

　他にも地元の農家やメーカーを中心に厳選された高品質の商品を取りそろえるスーパーマーケット「バイライト」やその系列のアイスクリーム店「バイライト・クリ－マリー」など人気のグルメスポットからおしゃれな雑貨や洋服、コスメなどが並ぶショップもたくさんあり、ＳＦのトレンドを肌で感じられるエリアです。（米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も）