11月1日の「世界ビーガンデー」にちなみ、先日このコラムでロサンゼルス(LA)のビーガン(完全菜食主義者)事情をレポート(https://www.nikkansports.com/leisure/column/la/news/201911130000334.html)しましたが、ビーガンの流れは食品だけに限ったことではありません。

動物の革製品の販売は2023年から全面禁止へ
動物の革製品の販売は2023年から全面禁止へ

動物愛護や二酸化炭素排出による気候変動など環境面への配慮からビーガンを実践している人の中には、食事だけでなくレザーや毛皮などの革製品を身に着けることも避けるエシカル・ビーガンと呼ばれる人たちがいることを紹介しましたが、カリフォルニア州では先月、全米で初となる動物の毛皮の販売を禁じる法案が成立しました。同州のギャビン・ニューソム知事が州内で新たに毛皮製品の販売や製造、寄付を禁じる法案に署名したもので、2023年1月1日から執行されます。これによって、23年以降は同州内において新品の衣服やハンドバッグ、靴、アクセサリーなど動物の毛皮が使われている全ての製品の販売・寄付ができなくなり(中古品並びに宗教目的、先住民が使う毛皮製品は除外)、新たに商品を製造することも革製品の輸出入もできなくなります。違反した場合は罰金が科せられることになります。

うさぎのマークが目印の動物を虐待していない認証マーク
うさぎのマークが目印の動物を虐待していない認証マーク

同知事は同時に動物虐待防止を目的としたいくつかの法案にも署名しており、サーカスでゾウやトラを使うことを禁じる法案や馬を食肉処理から守る法案(食肉目的で馬やロバを殺すことはすでに全米で禁止)なども成立していますが、ここ数年で増えているのが「動物実験をしていない製品」です。LAのオーガニックやナチュラルフードなどを扱うスーパーマーケット等では、石鹸やシャンプー、洗剤、化粧品等の日用品にもビーガン製品が増えていますが、カリフォルニア州では昨年すでに動物実験を行った化粧品の販売や輸入を禁じる法案が成立しており、来年1月1日から執行されます。

真ん中のうさぎが飛んでいるマークが、動物実験を行っていない製品であることを証明する認証マーク
真ん中のうさぎが飛んでいるマークが、動物実験を行っていない製品であることを証明する認証マーク

それに伴い、ここ数年は商品を開発・製造する段階で動物実験を行っていないことを証明する「No Animal Tested(動物実験をしていない)」や「Cruelty Free(動物を傷つけていない)」の認証マークを取得している製品が増えています。EU加盟国ではすでに13年に動物実験を行った製品の販売・輸入が禁じられていますが、製品の開発において行わる動物実験が残虐だとする声はアメリカでも多く上がっており、実験動物の保護活動や代替実験を求める運動なども活発化しています。

レインフォーレスト・アライアンスの認証マークがついた商品も増えています
レインフォーレスト・アライアンスの認証マークがついた商品も増えています

これらの認定を受けている製品は、痛みや苦しみを伴い、最終的には死に至らしめる動物実験を一切行っていないことを証明するもので、安心して使うことができる基準としてLAの人たちには広く浸透していますが、最近新たに目にする機会が増えているのが「Rainforest Alliance(レインフォレスト・アライアンス)」の認定マークです。ロゴと共にカエルのマークが描かれたこの認証マークは、農業、林業、環境業において社会的基準を満たした持続可能な方法で作った商品やサービスを指南するものです。森林や生態系の保護、土壌や水質源の保全などに努める農園や企業の製品にこのマークが使用されており、コーヒーや紅茶などの茶葉、プラスチック製品を使っていないパッケージやコンテナー、ジュース、果物、チョコレート、家具など幅広い製品が認定を受けています。グリセリンやリンゴや柑橘類の光沢材として使われるセラックなど化学物質が一切使われていないので安心して使うことができます。

革製品の販売禁止の影響は高級ブランド店にも及びそうです
革製品の販売禁止の影響は高級ブランド店にも及びそうです

厳格なビーガンの中には口から食べるものだけでなく、日常的に使う製品に関しても動物の革製品や動物実験を行っている商品を避ける傾向が強まっており、LAではビーガンフレンドリー(ビーガンに優しい)商品が今後もトレンドとなりそうです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)