ロサンゼルス(LA)の街を歩いていると、ストリート・アートを見かけることがありますが、落書きから始まったアートは今では街並みの一部としてLAの人々に愛されています。ダウンタウンのアーツ・ディストリクトやインスタ映えスポットとしても有名なメルローズ通りなど、アートとしての壁画を徒歩で見て回ることができるほどLAのストリート・アートはとてもホットですが、近年よく見かけるようになったのが普通の街角にたたずむトラフィック・シグナル・ボックス(信号の交換機ボックス)のアートです。無機質なメタルのボックスを地元アーティストたちによってカラフルで個性的なアート作品に生まれ変わらせるプロジェクトが、LA近郊の街を中心に急増しているのです。

ペイントしていないボックスはこんな感じ
ペイントしていないボックスはこんな感じ
アーティストの個性が存分に発揮できる小さなキャンバスと化す信号交換機ボックス
アーティストの個性が存分に発揮できる小さなキャンバスと化す信号交換機ボックス

ハリウッドやダウンタウンなど観光地のみならず、今では街のあちらこちらでアーティストの個性が発揮されたトラフィック・シグナル・ボックス・アートを楽しむことができ、LAの新たなストリート・アートの流行を作っています。信号の交換機ボックスは各自治体が管理しているため、市や町によって規定は若干異なるようですが、地元アーティストや学生が申請をして企画案が通ると作品を描くことが許可されます。政治的メッセージや特定の企業や商品などの宣伝や広告、誹謗(ひぼう)中傷など卑猥(ひわい)なメッセージは禁止されていますが、それ以外は純粋なアートとして誰もが自由に作品を描くことができます。LAらしい青い空とヤシの木を描いたポップなアートから、人物画や動物の絵、花や抽象画のような本格的アートまで様々な作品を街中で見ることができます。

平和や愛をメッセージにした作品も多くあります
平和や愛をメッセージにした作品も多くあります
個性的な作品もたくさんあります
個性的な作品もたくさんあります

アーティストたちの個性が表現された作品は、立派なストリート・アートとしてLAの人たちにも受け入れられており、お気に入りの作品をSNSで紹介している人などもいます。アーティストや学生たちにとっては、自分の作品をより多くの人に見てもらうチャンスでもあり、コミュニティーにとっても街が美しくなり、美術館に足を運ばなくてもアートがより身近で楽しめて人々の癒しとなるというメリットもあるこのプロジェクトは、LA以外の都市にも広まっています。旅行でアメリカを訪れた際には街角の名もなきアートにぜひ目を留めてみて下さい。

カラフルな色使いで街並みも明るくなります
カラフルな色使いで街並みも明るくなります
こんなユニークな作品も。4面全てがキャンバスになります
こんなユニークな作品も。4面全てがキャンバスになります

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)