街中にはマスクの絵も登場
街中にはマスクの絵も登場

26日に1日の新規感染者としては最多となる1843人の新たな感染が判明するなど新型コロナウイルス感染拡大が未だ続くここロサンゼルス(LA)では、小売店の店内での買い物やショッピングモールの再開に続いて、29日には2カ月以上禁止されていたレストランでの店内飲食や美容室の再開が認められました。

カリフォルニア州内の約半数となる感染者が集中しているLAは、早期の経済活動再開に慎重な姿勢を見せており、当初は7月4日の独立記念日を再開の目標にするとしていましたが、27日には全ての小売店の再開を認めるなど、ここにきて緩和のペースが早まっています。感染リスクが高いとされるスポーツジムや娯楽施設、映画館やネイルサロンはまだ閉鎖されたままですが、これでようやくほぼ普通の生活を送れる環境が整ったことになります。

しかし、歓迎する声がある一方で爆発的な感染拡大や第2波を警戒する人も多く、一気に元の生活に戻ることへの不安は残されたままです。

営業再開が認められたサンタモニカのショッピングモールも多くのテナントは閉店したまま
営業再開が認められたサンタモニカのショッピングモールも多くのテナントは閉店したまま
店内での買い物が認められた後も客を店内に入れずに営業する店も多く見られます
店内での買い物が認められた後も客を店内に入れずに営業する店も多く見られます
事前に注文した商品を車まで運んでもらえるカーブサイドピックアップは新たなスタイルとして定着するかも?
事前に注文した商品を車まで運んでもらえるカーブサイドピックアップは新たなスタイルとして定着するかも?

営業再開には様々な条件をクリアする必要があり、飲食店では<1>ソーシャルディスタンスを確保するためテーブルを離すなどの措置<2>飲食中以外は常にマスク着用<3>定員の60%以下の入店<4>可能な限りパティオ席かピックアップを利用<5>予約を推奨し、入店待ちは車内など外でする<6>座席数を確保するためアウトドアスペースの利用が認められれば歩道や駐車場などを一時的に使用することが可能になるなどの条件のもとで再開が認められます。

一方で食べ物を提供しないバーの営業再開は認められず、レストランのバーエリアも閉鎖するよう求められています。また、理髪店や美容室では<1>従業員も客も症状がないこと<2>全ての人がマスク着用<3>雑誌や飲み物の提供は不可<4>支払いは非接触で(キャッシュレス)<5>スタイリスト1人に対して客は1人だけなどが営業再開の条件となっています。これに加えて独自に入店時の検温や手袋、フェースシールドの着用などさらなる感染対策を取って再開を待ちわびた客を迎える店がある一方で、安全面への不安から再開を躊躇する店もあるようです。

買い物時はマスク着用、他人と距離を保つソーシャルディスタンスが求められています
買い物時はマスク着用、他人と距離を保つソーシャルディスタンスが求められています
ソーシャルディスタンスを保つために通路を一方通行にしたショッピングモールでは矢印に沿って歩く必要があります
ソーシャルディスタンスを保つために通路を一方通行にしたショッピングモールでは矢印に沿って歩く必要があります
屋外ショッピングモールのグローブも営業する店は少なく、人通りはまばら
屋外ショッピングモールのグローブも営業する店は少なく、人通りはまばら

数日前から営業を再開したショッピングモールでも、消毒ステーションを設置したり、ソーシャルディスタンスを確保するために通路を一方通行にしたり、休憩スペースの椅子を利用できないようにするなど様々な感染対策が取られ、入店人数を通常の半分以下とし、客と従業員双方にマスク着用も求めていますが、実際に営業を再開したテナントはまだ少数で、シャッターを閉めたままの店が多いのが現状。LAのダウンタウンにほど近いアウトレットモール、シタデルも営業している店舗は全体の3分の1ほどで、買い物客で賑わうまでには至っていません。

サンタモニカのショッピング街サードストリートプロムナードでも店内に買い物客を入れて営業している店はまだごくわずかで、人通りもまばら。厳しい現状が浮き彫りになっています。多くの店がソーシャルディスタンスや従業員の安全確保などの観点から営業再開の準備が整っていないことや、感染者が増え続ける中でリスクを懸念する声もあるようです。筆者の周囲でも、「まだレストランで食事する気にはなれない」「店内飲食は怖いから利用するならパティオ」「屋内ショッピングモールに行くのはまだちょっと」と言った声も聞かれるように、客足が元通りになるには時間がかかると想定されます。

LAではこの半月ほどで交通量が増えてきたものの、まだ多の州に比べると人々の動きは緩やかで、不要不急の外出自粛を続けるよう求められているため、解放感から元の生活に戻って楽しむといった雰囲気は感じられず、様子見をしている人が多いように感じられます。

百貨店ノードストロームは入口にロープを張って、客は中に入れないようになったまま。注文した商品を受け取るだけの営業です
百貨店ノードストロームは入口にロープを張って、客は中に入れないようになったまま。注文した商品を受け取るだけの営業です
営業を再開した店では入口に警備員が常駐し、入店人数を制限するなどしています
営業を再開した店では入口に警備員が常駐し、入店人数を制限するなどしています

1000万人と言われるLA市民は症状のあるなしに関わらず無料で検査を受けられるようPCR検査の拡充を図ってきたLAでは、26日からドジャースの本拠地ドジャースタジアムで全米最大規模となる1日6000人の検査が可能となったことを受けて、1日1万5000人の検査体制が整ったことが経済活動再開の大きな要因となっています。今後は第2波を警戒しながら閉館が続く博物館や動物園、そして映画館など娯楽施設やスポーツジムの再開を目指していくことになりそうです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)