独立記念日の週末が明けた7日、ロサンゼルス(LA)郡ではパンデミック後初めて新型コロナウイルスの1日の新規感染者が4000人を超え、過去最多となる4015人の感染が確認されました。陽性率も直近1週間の平均は11.6%で、世界保健機関(WHO)が警戒すべきとしている5%の倍以上となる2桁を記録しており、近隣のベンチュラやリバーサイド郡ではすでに集中治療病床が埋まる事態となっています。感染者の半数が18歳から45歳の比較的若い世代で、経済活動再開に伴って多くの人が外出するようになったことで感染が広がっているとみられています。

独立記念日の花火による大気汚染が過去最悪であったと伝える地元メディアの記事
独立記念日の花火による大気汚染が過去最悪であったと伝える地元メディアの記事
アウトドア席での飲食は許可されているため、多くのレストランが店舗前にテーブルとイスを並べて営業を続けています
アウトドア席での飲食は許可されているため、多くのレストランが店舗前にテーブルとイスを並べて営業を続けています

独立記念日に人が集うことでさらなる感染拡大が懸念されていた今年は、毎年恒例の花火大会は中止となり、密を避けるためにビーチも閉鎖されるなど厳戒態勢の中でのお祝いとなりました。独立記念日は毎年、公園や自宅、キャンプ場などに家族や友人らが集まってBBQをしながら過ごし、夜はビーチやスタジアムなどで盛大な花火大会が行われるのが恒例でしたが、今年は「同居しない人とは交わらず、家族以外と一緒にBBQパーティーはしないように」「極力外出せず、自宅で過ごしましょう」と呼び掛けられていました。独立記念日の週末を前にカリフォルニア州のニューサム知事も感染が拡大するLAをはじめとする19の郡で営業を再開したばかりのバーを再び閉鎖し、飲食店での店内飲食も禁止することを発表。同時に今月中旬に再開を目指していた映画館を含め、すでに営業を再開していた美術館や博物館、動物園など娯楽施設も今後少なくとも3週間は閉鎖することを決めました。しかし、アウトドアパティオがある飲食店では外の席のみ営業を続けることが認められたため、多くのレストランでは昼間からパティオでビールを飲んだり、食事を楽しむ人の姿があり、オープンしている公園やハイキングトレイルにも人がたくさん出かけていたことが伝えられていました。そんな中、過去最多の感染者数を記録した7日には、祝日のため昨日まで閉鎖されていたドジャースタジアムの駐車場に設置された検査場に早朝から行列ができるなど検査希望者が殺到しており、今後さらに感染者が増え続けることが予想されています。

独立記念日も大勢の人が外食を楽しんでいました
独立記念日も大勢の人が外食を楽しんでいました
LAではソーシャルディスタンス確保のため、道路や駐車場の一部をレストランの飲食スペースとして利用することが特別に認められています
LAではソーシャルディスタンス確保のため、道路や駐車場の一部をレストランの飲食スペースとして利用することが特別に認められています

そんなコロナ禍で迎えた独立記念日は、感染拡大の懸念と共に違法な花火の打ち上げで大騒ぎの1日となりました。カリフォルニア州では個人で花火を楽しむのは違法で罰金が科せられますが、自治体などが主催する公式の花火大会が軒並み中止されたことやステイホームによるストレスから多くの市民がインターネット等で違法に購入した花火を独立記念日に合わせて連日連夜打ち上げ、先週から警察への通報が相次ぐ事態となっていました。そんな状況を受けてガルセッティ市長は「独立記念日に花火をしないよう」呼び掛けていましたが、4日は暗くなる前から市内のあちらこちらで数えきれないほどの大小さまざまな花火が空を彩り、その数は数千とも数万とも伝えられ、深夜まで鳴りやまない花火の騒音に一晩で1700を超える通報が寄せられたといいます。また、ヤシの木に花火が引火して隣接する建物が全焼するなど花火が原因の火災も複数起きており、翌日になっても街一帯が煙に包まれる前代未聞の独立記念日となりました。

これほど多くの違法花火の打ち上げは見たことがないと誰もが口をそろえた今年のLAの独立記念日の夜空を彩る花火を伝えるLAタイムズ紙の写真
これほど多くの違法花火の打ち上げは見たことがないと誰もが口をそろえた今年のLAの独立記念日の夜空を彩る花火を伝えるLAタイムズ紙の写真

トランプ大統領はホワイトハウスで行った独立記念日の演説で、「コロナ感染例の99%は全く無害」と科学的データなしに発言したことが問題視されていますが、LAでは今後2~3週間で感染者が爆発的に増えて集中治療病棟の空きがなくなる可能性も指摘されており、この夏もコロナとの闘いはやむことはなさそうです。

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)