食事や買い物する人で賑わうビバリーヒルズ
食事や買い物する人で賑わうビバリーヒルズ

日本では先月22日から国内旅行を対象にした「Go To トラベル」キャンペーンがスタートし、政府は新型コロナウイルス感染拡大の影響で打撃を受けた観光業の回復を目指しているようですが、日本同様に観光産業が大きなダメージを受けているここロサンゼルス(LA)では、まだまだ「観光をしましょう」と言える段階ではありません。経済活動が段階的に緩和されてはいるものの3月中旬に発令された外出自粛命令は現在も続いており、イベントの開催はもちろん、ホームパーティーなど同居する家族以外で集うことも自粛するよう求められており、感染者が再び急増する中で大手を振って観光に出かけるような雰囲気ではありません。

LAはここ10年ほど毎年右肩上がりで観光客が増えており、2018年には年間4830万人の観光客が訪れていましたが、年間110万人ともいわれる中国からの観光客がパンデミック以降ゼロになるなど観光客数はこの5カ月で大幅に減少。LAタイムズ紙によると今年は当初予想の5100万人から半数以下となる2200万人ほどに落ち込む見込みで、130億ドルの損失が予想されているそうです。日本からもまだLAに観光に訪れる人はほとんどいないと思いますが、8月に入って夏休み真っ最中の普段なら大勢の観光客で賑わっているはずのLAの観光地は今どうなっているのでしょう。

●ハリウッド

LAで外せない観光地の1つハリウッドは、スターの手形や足型で知られるチャイニーズ・シアターやハリウッドスターの蝋人形と出会えるマダム・タッソー蝋人形館をはじめとする多くの施設が現在も閉鎖されたままです。アカデミー賞の授賞式会場としても知られるドルビー・シアターも閉鎖されていますが、隣接するショップやレストランが集まる複合施設ハリウッド&ハイランドは一部ショップを除いてオープンしています。4月から5月頃に比べると人通りは増えていますが、観光客の姿はまだごくわずかです。

ハリウッドのチャイニーズ・シアターは4カ月以上閉鎖されたままです
ハリウッドのチャイニーズ・シアターは4カ月以上閉鎖されたままです

●テーマパーク

アナハイムにあるディズニーランドとカリフォルニア・アドベンチャー・パークは共に3月中旬から閉鎖されたままです。隣接する商業施設ダウンタウン・ディズニーは先月9日から営業を再開し、ワールド・オブ・ディズニーで買い物をしたり、アウトドア席のあるレストランやカフェで食事をすることができます。ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドも同様に閉鎖されていますが、隣接するシティウォークはオープンしており、アウトドア席での食事や買い物が楽しめます。

アメリカでも人気のユニクロも営業が再開されています
アメリカでも人気のユニクロも営業が再開されています

●サンタモニカ

観光客で普段は1日中賑わうサンタモニカピアは、ステイホーム命令が出されて以降閉鎖されていましたが、現在は午前10時~午後8時まで限定で開放されています。ピアにあるレストランもアウトドア席はオープンしていますが、観覧車などのアトラクションは閉鎖されたままです。ショッピング街サードストリート・プロムナードは一部店舗を除いて現在はショップもレストランもオープンしていますが、店内飲食は禁止されています。また、ショッピングモール「サンタモニカプレイス」も一部店舗を除いてオープンしています。

サンタモニカのショッピングモールのルーフトップにあるフードコートは開放的なオープンスペースでソーシャル・ディスタンスを保って営業しています
サンタモニカのショッピングモールのルーフトップにあるフードコートは開放的なオープンスペースでソーシャル・ディスタンスを保って営業しています

●美術館・博物館

ロサンゼルス郡美術館(LACMA)、ゲッティ・ミュージアム、ロサンゼルス現代美術館、ザ・ブロードなどLAを代表する美術館は全て閉館されています。1度は再開したピーターセン自動車博物館も再び感染が拡大したことで閉鎖命令が出されて現在は閉館しており、スペースシャトル「エンデバー」の展示で人気のカリフォルニア・サイエンス・センターやグラミー賞の歴史が展示されているグラミー博物館なども閉館されています。

ハリウッドの中心地には道路に描かれた人種差別運動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」の文字が今も残されています
ハリウッドの中心地には道路に描かれた人種差別運動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」の文字が今も残されています

●ビバリーヒルズ

3月中旬から5月にかけてはゴーストタウンと化していたビバリーヒルズですが、現在は高級ブランド店が軒を連ねるロデオドライブなど観光地には人が戻り始めています。ブランド店の多くが1度に入店できる人数を制限して営業しているため、グッチやルイ・ヴィトンなどでは入店待ちの人による行列もできています。また、レストランもアウトドア席での飲食は認められているため、アカデミー賞公認シェフとして知られるウルフギャング・パック氏が経営するスパゴなど人気店で食事を楽しむことができます。

ロデオドライブにあるルイ・ヴィトン前には入店待ちの行列が
ロデオドライブにあるルイ・ヴィトン前には入店待ちの行列が

●ショッピングモール

観光スポットとして人気の屋外ショッピングモール、ザ・グローブとリノベーションしてきれいに生まれ変わったセンチュリーシティのウエストフィールドはオープンしていますが、日本人観光客に人気のビバリーセンターは閉鎖されたままです。ザ・グローブに隣接する世界各国の料理などが楽しめる屋台が人気のオリジナル・ファーマーズ・マーケットはオープンしており、食事や買い物ができます。

噴水の周りをショップやレストランが取り囲むショッピングモール、ザ・グローブは営業しています
噴水の周りをショップやレストランが取り囲むショッピングモール、ザ・グローブは営業しています

●グリフィスパーク

アメリカ最大の市営公園として知られるグリフィスパークは、街の喧騒を離れて気軽に手付かずの自然と触れ合えるハイキングトレイルやLAの街を一望できる天文台などが人気ですが、いずれもソーシャル・ディスタンスを確保するのが難しいため閉鎖されています。また、パーク内にあるLA動物園も閉園しています。

●ハンティントン・ライブラリー

映画のロケ地としても知られる日本庭園をはじめ世界各国の美しいガーデンが広がるハンティントン・ライブラリーは、入園者数を制限してオープンしています。ただし、絵画や歴史的価値のある貴重な書籍が展示されているライブラリーなど室内施設は閉鎖されています。訪問するにはオンラインで事前に日付を指定してチケットを購入する必要があります。また、都会のオアシスとして地元の人に人気のデスカンソ・ガーデンズも現在は入園が可能で、マスクを着用してソーシャル・ディスタンスを保ちながら散策ができます。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)