ロサンゼルス(LA)郊外コビーナに開業したマイクロブリュワリー(ビール醸造所)「ノバ・ブリューイング・カンパニー」が、日本醸造協会の酵母701を使ったクラフトビール「Ginjo7(吟醸7)」の販売を6月6日からスタートしたとのニュースを聞いていたのですが、コロナ禍でブリュワリーまで出向くことがなかなかできずにいたところ、近くのリカーストアでも販売を始めたというのでさっそく購入して試飲してみました。アメリカでは近年は空前のクラフトビールとSAKE(日本酒)ブーム。その2つがコラボしているのだからお酒好きの間で話題にならないはずはありません。クラフトビールの品ぞろえが自慢のリカーストアの店員も、「ベストビール」と太鼓判を押していました。

LA初の日本酒醸造所となったノバ・ブリューイングがリリースした日本酒バキューム (写真はノバ・ブリューイング・カンパニーのインスタグラムより)
LA初の日本酒醸造所となったノバ・ブリューイングがリリースした日本酒バキューム (写真はノバ・ブリューイング・カンパニーのインスタグラムより)

ノバ・ブリューイング・カンパニーはLAの中心部から東に約32キロの内陸の都市コビーナ市にあります。ここはクラフトビールだけでなくワインの醸造も行っており、つい最近「Vacuum(バキューム)」と名付けられた日本酒もリリースしてLA郡初となる日本酒の醸造所にもなるなど何かと話題のブリュワリーです。そんなノバ・ブリューイングのビール醸造家と日本の酒蔵で日本酒作りを学んだというノバ・ブリューイングの日本酒の作り手がコラボして生まれたのが、Ginjo7。ビールなのに日本酒の香りも楽しめるとてもユニークなハイブリッドビールです。16オンスの缶が4ドル50セントで販売されていますが、このブリュワリーが面白いのはこれだけではありません。他にも「ウーロン・アイランド」と名付けられたウーロン茶を使用したピーチ風味のラガービールや季節限定のメロンフレーバーのIPA、ワイン樽で熟成させたビールなど他で味わえないビールが楽しめます。今回は残念ながらGinjo7以外は購入ができなかったので、コロナ禍が落ち着いたらブリュワリーを訪れてみたいと思っています。

LAから東に車で1時間弱の場所にあるノバ・ブリューイング・カンパニー (写真はノバ・ブリューイング・カンパニーのインスタグラムより)
LAから東に車で1時間弱の場所にあるノバ・ブリューイング・カンパニー (写真はノバ・ブリューイング・カンパニーのインスタグラムより)

日本酒の醸造で使われる酵母を使った吟醸ビールは、Ginjo BeerまたはSake Yeast Beer(清酒酵母のビール)と呼ばれてアメリカのビール愛飲家の間でも人気がありますが、そもそも吟醸ビールってどのようなものなのでしょう。通常のビールを作る際に使用するエールやラガーの酵母を使わずに日本で古来から使われてきた麹菌で発酵させたのが吟醸ビールです。酒蔵に住み着く酵母には様々な種類があることで知られていますが、Ginjo7で使われている酵母701は発酵が強く、華やかな香りが特徴。そのため、Ginjo7もビールらしいホップの香りと共にフルーティーな吟醸酒特有の香りが感じられます。アルコール度数は6.16%と日本の一般的なビールに比べると若干度数は高めですが、フルーティーなので飲みやすく、日本食はもちろん海鮮料理との相性も抜群で食事と一緒に楽しめるお酒です。ハンバーガーやフレンチフライなどアメリカ料理と合わせることが多いクラフトビールですが、これは刺し身などあっさりした日本食にぴったりで、チーズとの相性も良いように思います。

清酒酵母で発酵させたGinjo7はフルーティーな味わいが特徴のハイブリッドビール
清酒酵母で発酵させたGinjo7はフルーティーな味わいが特徴のハイブリッドビール

新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンの影響で自宅にこもる人が増えた結果、アルコール飲料の売り上げが伸びて消費が増えていると言われているアメリカ。これまでのようにレストランやバーに出かける機会が減っている今、自宅でおいしいお酒を楽しむ人が増えており、Ginjo7の売り上げも上々のようです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)